保健福祉の現場から

感じるままに

新専門医制度

2018年03月29日 | Weblog
メディウォッチ「新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会」(http://www.medwatch.jp/?p=19842)。<以下引用>
<新専門制度の2018年度全面スタートに向けて、専門医を目指す専攻医の登録が各研修プログラムで進められています。3月27日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、日本専門医機構から専攻医の登録状況に関する詳細なデータが提示されましたが、これを巡り「新専門医制度によって医師の都市部集中が増悪しているか、否か」について、検討会構成員と日本専門医機構との間で大きな見解の相違があることが分かりました。今後、都道府県と日本専門医機構が「医師配置状況」について話し合う中で、増悪の有無について検討していくことになります。日本専門医機構と検討会構成員とで、「医師偏在の動向」について大きな見解の相違 3月27日の検討会には日本専門医機構の松原謙二参考人(日本専門医機構副理事長)が、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長)の代理として出席。各都道府県における▼初期研修医の配置状況と専攻医の登録状況との比較▼診療科別の専攻医登録状況と過去の専攻医(後期研修医)採用実績との比較—データを提示しました。前者はメディ・ウォッチで既にお伝えしたもので、松原参考人は「都市部に一定の専攻医集中が見られるが、各研修プログラムで近隣県に医師が派遣されることを考えれば、大きな混乱などは生じていない」とコメント。また、5大都市圏(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)においては「専攻医集中が進まない」ように採用数上限(過去5年間の専攻医採用実績の平均)が規定されていますが(医師不足が懸念されている外科等は除く)、後者のデータからは「上限規定が効果をあげている」ことが分かります。しかし、このデータに対し検討会構成員からは「都市部集中が増悪している」との指摘も出されました。立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は、「専攻医8409名のうち、21.7%・1825名が東京に勤務している。人口比率(総務省統計局によれば東京都には日本全体の10.6%が居住している)に比べても、東京都への医師集中は明らかである。初期臨床研修制度の抜本的見直し、医師の地方勤務へのインセンティブ付与などを検討しなければ、我が国の医療は崩壊してしまう」と強調。また渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)も、「東京への医師集中は『増悪』している。まずここを認め、その上で原因分析、対策法の検討へと進まなければいけない」と強い調子で指摘しました。さらに、荒井正吾構成員(奈良県知事)の代理として出席した林修一郎参考人(奈良県医療政策部長)は、2016年度の初期臨床研修医採用状況(厚生労働省調査)と2018年度の専攻医採用実績(日本専門医機構調査)とを比較し、「日本専門医機構は『東京都が近隣県圏をカバーする』というが、関東ブロックで見ると、初期研修医シェアは34.9%であったが、専攻医シェアは37.3%に上昇している。関東以外の静岡県等を加味しても、関東ブロックのシェアは増加しており『都市部への医師集中』が進んでいることは疑いようがない」と指摘。また林参考人は、この原因の一つとして「5大都市圏の採用数上限」が甘く設定されているのではないか、との指摘も行っています。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」による後期研修医の配置状況と、各学会による専攻医採用実績とを比べると、多くの診療科で「前者のほうが小さく、後者の方が大きい」ことが分かります。専攻医採用実績が大きければ、採用数上限が高めに設定され、「医師集中是正効果」は働きにくくなります。林参考人は、「採用数上限が高めに設定され、都市部への医師集中が『増悪』したのではないか」と分析しているのです。このように、日本専門医機構と検討会構成員との間で、「新専門医制度によって、医師の都市部集中が『増悪』したか、否か」について大きな見解の相違があります。この点については、実際に各都道府県において医師の勤務状況がどう変化していくかを確認しながら判断していかなければいけません。現在、国会に上程されている医療法・医師法等改正案(医療法及び医師法の一部を改正する法律案)では、医師偏在対策の一環として、専門医制度に関し▼国から日本専門医機構等に対し、必要な研修機会を確保するよう要請する権限の創設▼国・都道府県から日本専門医機構等に対し、地域医療の観点から必要な措置の実施を意見する仕組みの創設―を規定しています。とくに後者では、「専門医の研修計画が地域医療に大きな影響を与える場合には、日本専門医機構は、あらかじめ国・都道府県の意見を聴かなければならない」こととされる見込みで、今後、都道府県が「日本専門医機構の推測のように、都市部の基幹病院の研修プログラムによって、近隣県の医療機関へ医師が派遣されている」のかを確認していくことになります。ここで、医師偏在が助長され、地域医療に重大な影響が生じかねないことが判明すれば、国が日本専門医機構に是正を求めてくことになるでしょう。このため厚労省は、現時点で「専門医制度により医師偏在が助長されている」とも「されていない」とも判断することは難しい、と考えているようです。なお、日本専門医機構では2018年度の採用実績をもとに「2019年度の採用数(5大都市圏の上限を含めて)を見直す必要があるか」などを検討する考えを示していますが、林参考人は「新専門医制度の採用実績が積み重ねられれば既得権益化してしまう。学会の採用実績を検証し、2019年度分から採用数見直しを行うべき」と強い調子で求めています。今後の日本専門医機構の動きにも、改めて注目する必要がありそうです。>

M3「卒後2年目の医師、93.2%が新専門医制度へ◆Vol.1不参加理由は「キャリアプランに合わず」が最多」(https://www.m3.com/news/iryoishin/592036)。<以下引用>
<2018年度から開始する新専門医制度については、専門医の質、地域医療への影響など、さまざまな面から医療関係者の高い関心を集めている。m3.com編集部では、新専門医制度の一期生に当たる医学部卒後2年目の医師296人を対象にこの2月から3月にかけて、新専門医制度に関する調査を実施した。質問項目は、専門研修実施の有無、研修施設の選定理由、新専門医制度の影響や改善すべき点など。一期生のリアルな声をお届けする。まず新専門医制度のプログラムに登録し、専門研修を開始するかを調査した結果、296人の回答者のうち、93.2%に当たる276人が開始すると回答した。日本専門医機構は3月16日、計8409人が新専門医制度に登録したことを公表しており、卒後2年目の医師の約9割が専門研修を開始するという結果とほぼ一致する(『新専門医制度の一期生8409人、「東京で研修」は21.7%』を参照)。一方、専門研修を実施しない医師20人に、その理由を複数回答で聞いたところ、「臨床を続ける上で、自分のキャリアプランに合わない」(6人)が最も多く、以下、「大学院に進学(研究)」(4人)、「希望プログラムに入れず、次年度を目指す」(3人)、「臨床を続ける上で、専門医資格の必要性がない」(3人)、「臨床以外の道を目指す」(2人)、「専門医資格取得が困難」(1人)と続いた。「その他」(4人)の理由は、「1年留学をするから」「大学でのプログラムが卒後5年目から始まるため」など。>

「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=436600)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000199728.pdf)p3都道府県別「専攻医採用・登録者数(平成30年3月15日まで)」、p6都道府県別「初期研修プログラム(または住所地)からみた採用状況」、p7都道府県別「東京都以外の初期研修地(または住所地)からの東京都の専門研修プログラム採用」が目にとまった。都道府県別「専攻医採用・登録者数」はそれぞれの地域における将来の医師派遣に直結することは認識したい。日本専門医機構(http://www.japan-senmon-i.jp/)の動向は注視する必要がある。なお、今国会(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/196.html)の「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-21.pdf)の具体的な展開については、今後、医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126719)や医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)での議論が気になるところである。
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