保健福祉の現場から

感じるままに

医療保険者による保健事業

2005年11月08日 | Weblog
先般の医療制度構造改革試案(http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/10/tp1019-1.html)では、医療保険者に、被保険者・被扶養者に対する糖尿病等の予防に着目した健診・保健指導の事業について、目標を立て実施することを義務づけることが記されている。健康保険法150条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html)、地方公務員等共済組合法112条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO152.html)、国民健康保険法82条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33HO192.html)等、それぞれの法律において、保険者は被保険者や扶養者に対して保健事業を行うよう努めることが規定されている。国民皆保険であるから、本来あまねく保健事業が行われているはずだが、実際はそうではない。それをカバーしてきたのが、老人保健法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S57/S57HO080.html)に基づく保健事業である。医療保険者に健診・保健指導を義務づけた場合、老人保健事業はどうなるであろうか。また、市町村が行っている「がん検診」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0427-2.html)はどうなるであろうか。さて、国の審議会において、医療保険者による素晴しい保健事業が紹介されている(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/08/s0804-3.html)(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/08/s0826-9c.html)。こういう取り組みが普及すれば、試案目標の「糖尿病等の生活習慣病患者・予備群の25%減少(平成20~27年度)」に近づけるかもしれない。しかし、産業医や保健師など専門職がいない事業所はどうであろう。国は民間事業者への保健指導のアウトソーシング化の方針を示しているが、その費用負担はどうするのであろうか。地域保健の現場では中小企業における保健事業が心許ない状況であることは今さら説明するまでもない。役割を期待される地域産業保健センターも十分機能しているとはいい難い。老人保健事業がカバーしてきた背景を理解する必要があるように感じられてならないのである。
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