保健福祉の現場から

感じるままに

結核予防法廃止

2005年11月15日 | Weblog
結核予防法の廃止・感染症法への統合がなされようとしている。これに関して、全国保健所長会が緊急声明(http://www.phcd.jp/kuni/TBkinkyuseimei.html)を出して、反対を唱えている。今回の法的対応はバイオテロ対策を前面に掲げているがそれだけではない。結核については命令入所の手続きの曖昧さの解消がある。現状では「命令入所前の結核診査協議会の意見聴取が徹底されていない」、「命令入所を拒否された場合に対応できない」などの課題がある。改正感染症法には「結核に関する規定」の項を設け、結核固有の措置は法律レベルで規定される。むしろ、強い反対意見には別の懸念と意図があるようにも感じられないか。例えば、医師からの届出基準(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/kansensyo/kijun.html)である。現状では結核菌検査について医療現場で常識である遺伝子検査が義務付けられていない。排菌陰性の結核の公費適用基準についても曖昧である。結核発生動向調査(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html)で新登録患者数・罹患率が5年連続で減少しているのは的確な診断の普及による面が否定できないように思える。結核予防法廃止を契機に、統計上の結核罹患数・率は急速に減少する可能性がある。そして、もう一つ考えられることは、結核病床の取扱いである。感染症法への統合により、結核病床は第二種感染症病床となると思うが、従来の指定医療機関との関係はどうなるであろうか。赤痢・コレラ・チフス・パラチフスの三類への移行により、これまでの第二種感染症病床数の見直しが避けられないであろう。さて、感染症法への統合によって診査までの応急入院(14日を超えない政令で定める期間)が適用されが、応急入院後の本入院の取扱いがどうなるかが注目される。感染症法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kansensy.htm)では一類・二類感染症は10日ごと協議会で診査することになっている。これまでの結核予防法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kekkaku.htm)では最大6ヵ月間、無診査が可能であったが、医療水準や人権上からみてもとても妥当とはいえないであろう。本入院の継続について、協議会で診査が短期間に繰り返されれば、入所期間が大幅に短縮するのは間違いなさそうである。いずれにせよ、結核医療の大転換が訪れようとしている。
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