友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

ドイツ生まれのアメリカ人その2

2009年07月10日 22時19分29秒 | Weblog
 会ってからわずか7時間一緒にいたくらいで、そう決め付けることは出来ないかもしれないが、ドイツ生まれのアメリカ人は、アメリカ国籍であるというだけで、本質的にはドイツ人なのだなと彼を見ていてそう思った。まず彼は几帳面だ。地図の上で自分たちがどこにいるか、それをつかむと、それならばこう進めばよいと頭に中に地図ができるのだろう。アバウトな感覚でものを考えるのではなく、地図とか数字とかいう客観的な基準とか物差しで、論理的に考えようとする。

 それに彼は運転も几帳面だ。速度制限以上にスピードは出さないし、そればかりか、かなりゆったりした運転である。そうかと思うと、私はほとんどクラクションを鳴らしたことがないけれど、私から見れると、相手は無理な運転はしてこないだろうと思う時であっても、やたらとクラクションを鳴らして警告する。実に安全運転に徹していた。それに、ガソリンはまだ4分の1も残っているのに、「ガソリンヲ 入レナクテハ イケナイ」と言い出す。そりゃー、アメリカでは何十キロ走ってもガソリンスタンドはないかもしれないが、いや実際にアメリカに行ってそれは実感したけれど、ここ日本ではちょっと走ればすぐにガソリンスタンドに出会う。

 何事にも慎重で計画的なのだと思った。それなのに、なぜ資本主義経済は行き詰ってしまったのだろう。彼らのように何事もキチンと計算し計画して、それぞれの企業は利益を目指したはずだ。それが破綻したのはなぜなのだ。こういう話を彼としたかった。また、彼がドイツのどこで育ったかは聞かなかったけれど、ドイツはプロテスタントの多い国だ。彼自身も自分の家はプロテスタントだと言っていた。なのに、彼の兄貴はなぜ人生の途中でカトリックの神父になったのか、この話題も彼ともっと話したかった。

 彼は大学で日本人女性にひと目惚れして結婚した。でも、子どもはいないと言う。子どもがいないことなどどうってことはない。子どものいない夫婦の方がとても仲がいい。そうではなくて、彼が考える夫婦とか家庭とかあるいはSEXとはどういうものなのか、聞いてみたいと思った。人が生きていく上で一番大事なものは愛だろう。人は愛なしには生きていけない。彼はそれをどう考えているのだろう。さらには、ドイツ軍人でアフガンへの出動を拒否した人がいたけれど、そういう人を彼はどう考えたのだろう。あるいは、ドイツ人であるマルクスを彼はどんな風に評価しているのか。そんなことも聞きたかった。

 彼はドイツ人ではあるが、アングロサクソン系のような大男ではないから、彼もまたユダヤ人なのかもしれない。そうであるなら、イエス・キリストについてはどんな風に考えているのだろう。もちろん、質問するからには私の考えを話さなくてはフェアではない。お互いに考えを述べることで自分が描いているものをハッキリさせていきたい。しかし、残念ながらそんなことを話し合えるほどお互いを知り合えたわけではなかったし、私は英語を流暢に話せないし、彼も日本語がまだよくわからない。「ヒトミシリ?ナンノコトデスカ?」「オクユカシイ?ソレハナニ?」と彼は首を傾ける。話ができない、困った。

 翌日、彼から電話が入った。「ブジニカエレマシタカ?マタ、オアイシタイデス」。彼も私を気に入ってくれたようだ。「ええ、ぜひお会いしましょう」。
コメント
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