箕面市では、顧客サービス意識や経営センスを市役所に導入することなどを目的に、民間企業への若手職員の派遣を実施しています。派遣先の民間企業で、派遣職員は何を学び、何を感じているのでしょうか。今回は、阪急電鉄株式会社に派遣されている水戸部さんからのメッセージをご紹介します。
撮れたてブログをご覧のみなさん、こんにちは!
阪急電鉄株式会社都市交通計画部に派遣中の水戸部です。
(阪急電鉄本社ビル1階にて。電車のジオラマがあります。)
この度ご縁があり、平成26年4月から阪急電鉄さんでお世話になっています。
「あれ?見たことがある名前だな」とお思いの読者さんがいらっしゃいましたら、よく箕面市のブログをご覧になっていただいているかたですね。いつもありがとうございます!
実は私、2011年度に「箕面市役所 新人奮闘記!」を担当しておりました。今回は民間企業で働いてみて感じたことをお伝えしたいと思います!
● 自己紹介
簡単に自己紹介をします。私は4年目の職員で、市役所では3年間、“商工観光課”という部署で“商工担当”をしておりました。商工観光課では、融資に関する業務や箕面まつりに関する業務、観光イベントの実施業務などに携わりました。その頃の様子は「箕面市役所 新人奮闘記!」にも掲載しています。そして4年目を迎えようとしていた頃、職員課長から突然“お呼び出し”され、「阪急電鉄さんで1年間、勉強しておいで」とお達しを受けたわけです。
「民間企業!?」「電車通勤!?(市役所までは徒歩通勤でした)」と色々なことが頭をめぐりましたが、商工観光課に在籍していた時に梅田駅での箕面市PRイベントなどで阪急電鉄さんにお世話になった経験があったこともあり、不安よりも楽しみな気持ちで4月からの阪急派遣生活を迎えました。ちなみに箕面市PRイベントの時、名刺交換させていただいたかたが現在の上司です。そのイベントを、今度は阪急電鉄側で携わることになろうとは…。人生何が起こるかわかりませんね。
余談ですが、私の祖父は旧国鉄で働いていました。なんだか電車にご縁のある、水戸部一家なのです。
(出社初日の朝。楽しみといっても緊張しました。)
● どんな仕事?
私は阪急電鉄の“都市交通計画部”に在籍し、阪急沿線の行政と連携して旅客誘致を行う営業企画の業務を担当しました。平たく言うと、「電車を使ってくれるお客様、阪急電鉄のファンを増やすための取組み」に関する仕事です。
「阪急沿線人口の増加≒市内定住人口の増加」、「電車利用者の増加≒市内へ遊びに来てくれるかたの増加」といったように、阪急電鉄と行政がそれぞれ目指すところに共通点があります。そこで両者がそれぞれの強みを活かし、強力に事業を推進しよう!という取り組みをしています。行政は地元の観光資源などを活用できる強みを、阪急電鉄は多人数の輸送力はもとより市区町を越えた強力な広報力を持ち寄り、win-winの関係で事業を行っています。
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≪阪急電鉄の広報力?≫
少し「行政が企画するイベントの広報」を例に説明します。行政は「自らの市町内への広報」は得意ですが(もみじだよりなど)、市町外へ広報する強力なツールを多く持ち合わせていません。ブログなどのイベント内容の情報発信も有効かと思いますが、紙媒体の広報力にはまだ至らないと考えられます。なぜなら、駅のポスターなど日常生活で“意図せずとも”目にする機会のある紙媒体に対し、ブログなどWebは“見に行かないと”見られない情報源だからです。このような背景がある中、行政が広報を打ちにくい地域において、阪急電鉄が「旅客誘致」を目的として広い範囲の駅にイベント広告ポスターなどを掲示することは、双方にとって大きなメリットにつながります。
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さて、前置きが長くなりましたが、私が携わった業務の中から仕事内容を紹介します。昨年前任者の久保田さんが「観光あるき」のことを記事にされていたので、私のブログでは「阪急ええはがきコンテスト」のことをお伝えしたいと思います。
● 阪急ええはがきコンテスト!
作者のユニークな“視点”で捉えられた作品が多数応募され、写真家や画家、大阪ええはがき研究会の先生方に審査していただく…そんなコンテストの仕事に携わることができました。
阪急電鉄では、お気に入りの沿線地域のシーンを写真や絵画で切り取り、メッセージを添えてご応募いただく「阪急ええはがきコンテスト」を開催しています。私が担当したのは、第5回目の開催となる「ええはがきコンテスト 阪急京都線part3 & 千里線」。開催ごとに対象となる路線が変わります。今回は京都線の大阪府域、千里線が対象でした。その業務について、少し紹介したいと思います。
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□ コンテスト開催のPR
多くの作品を応募していただくためには、コンテストの存在を知ってもらうことが重要です。そこで作品募集の広報では、各駅へのポスター配置やチラシ設置のほか、「SNS(FacebookやTwitter)をやっているかたは、写真を撮る機会が多いのでは?」という考えのもと、阪急電鉄公式のFacebookやTwitterでPRを行いました。
(「読者のかたに語りかけるような記事を」というオーダーを受け、モデル:私、編集:私で登場しました。)
(すいたんも記事をシェアしてくれました。沿線の行政に協力していただくことで、幅の広いPRが出来ました。)
□ 審査会の実施
集まった作品を、様々な視点から審査します。このコンテストは、写真や絵画の「上手さ」だけでなく、「作者の思い」を含めて評価されることに、おもしろさがあります。審査会で作者の意図を読み解こうとする、先生方の熱い議論はとても刺激的でした!
(議論が尽きる事はありません。私も少しだけ写真や絵画を見る目が鍛えられた気がします。)
□ 入選作品の発表
審査の結果、見事入選を果たした作品が表舞台に出る瞬間です。入選作品は梅田駅でパネル展示されるほか、最優秀賞などの上位入選作品は“ええはがき”の形で配布されました。(※現在は終了しています)
(梅田駅1F中央WEST広場(旧Co-Bigman前広場)でパネル展示が行われました。ご覧になられたかたもいらっしゃいますか?)
(展示パネルにラックを設置し、「ええはがき」を配布しました。2週間の展示で3万枚以上の「ええはがき」をお持ち帰りいただきました。)
(上位入選作品は、阪急電鉄の公式Facebookのカバー画像にもなりました。)
□ ええはがきコンテストを振り返って
パネル展示の「造作物」や、配布した「ええはがき」の製作は本当に大変でした!少しでも応募されてきた作品の色合いに近づけるため、何度も色校正と打ち合わせを重ねました。
色校正の指示も専門的な表現がわからないもので、「ここをもう少し赤っぽく…」などとかなり抽象的な表現でお願いしており、きちんと完成できるか不安でしたが、それが形になったときは嬉しかったです。
(阪急グループの広告会社さんと打ち合わせ。色々とご相談しやすい関係で仕事を進められたのも、グループ会社ならではなのかな、と感じました。)
ええはがきコンテストに関する業務は、今まで携わったことがない畑の仕事で、目新しいことばかりでした。たくさん失敗もしましたが、多くの知識を身に着ける事ができました。
思いもしないところからハプニングが生まれたこともあり、「予期せぬことを想定する大切さ」を学んだ思い出深い仕事となりました。
● 仕事を通して感じたこと
□ 仕事のスピード感!
よく言われることですが、市役所に比べると圧倒的なスピード感があります。その分、個人が持つ裁量が大きくなり、必然的に責任も伴ってきます。
阪急電鉄では、「この事業を、この目的をもって、この予算で行う」という意思決定を、稟議(市役所で言うところの決裁)で取れば、その後は基本的に稟議が行われることはありません。一方、市役所では事業を進める中で、頻繁に決裁により“組織の意思決定”が行われます。
≪たとえば“お問い合わせへの返答”を行う場合≫
阪急電鉄:上司と返答内容を相談し、部下が文書作成。添削後、そのまま送付。
市役所:起案文書(この内容で返答してもいいですか?という意思決定の内容を記載した文書)と回答案の文書を作成し、決裁ラインの者が全員内容確認。添削後、送付。
スピードを重視して事業を推進していくことはもちろん重要なことですが、“読みやすい文書”をお送りするのも大事なことです。
どちらが“良い”“悪い”ということではないのですが、お問い合わせの対応ひとつ見てみても、スピード感が全く違うことを実感しました。
□ “連携”しながら業務を推進
他の部署と連携して、仕事を進めていく事がとても多かったと感じています。たとえば、ええはがきコンテストの広報を見てみると、駅や電車の中吊りの広告を担当している部署、ホームページを担当している部署、SNSを管理している部署などがあり、それぞれと連携しながら広報活動を行います。「新しい取り組みを行いたい」という場合にも、とても親身になってご相談に乗っていただき、阪急電鉄一丸となって事業を進めていく文化を感じました。
さらに、阪急沿線の行政とも連携して事業を進めることは、“阪急電鉄ならでは”だったと思います。市役所で仕事している時よりも、行政のかたと仕事をご一緒する機会が多く、たくさん刺激を受けました。こちらのご縁も、今後大切にさせていただきたいと考えています。
□ “おもてなし”の文化
タイトルのネタを引っ張ってきましたが、ここで登場します。
「電鉄会社の社員さんは、電車で座らない」という都市伝説に近いような、こんな話を聞いたことはありませんか?この話は、本当でした。それどころか、社員さんはエスカレーターも使われません。
社員のみなさんがそうしている根底に、阪急電鉄にある“お客様に対するホスピタリティ”があります。「お客様が快適に過ごしていただけるように」という理念は、本当に素晴らしいと思います。私も、阪急電鉄の“お客様精神”を学ぶべく、「阪急電車で座らない」を実践しました。久しくあの手触りの良いシートに触れていません。実はあの手触りの良さも、ホスピタリティの一部なんですね!
● 終わりに
本当にあっという間の1年間でしたが、営業企画の業務に携わり、様々な経験をさせていただきました。阪急沿線の開拓時代から受け継がれてきた“お客様文化”や、行政とは違った視点で設定される目標に基づき推進する業務など、多くの視点を学ぶことができました。
業務内容も仕事の環境も慣れない中でしたが、周りのみなさんに支えていただきながら、毎日楽しく仕事をさせていただきました。このような貴重な機会を与えてくださった阪急電鉄さんには、本当に感謝しています。この場を借りて厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
残すところ1ヵ月となりましたが、少しでも多くのことを吸収し、これからの箕面市役所での業務に活かしていきたいと思います。
(出社初日に写真を撮った場所と同じ場所で、都市交通計画部 企画推進チームのみなさんと。)
<モミジーヌも“おもてなし”の文化を大切にしたいな。水戸部さん、残りあとわずかですが、頑張ってね!