台風が太平洋沖に去って、清々しい朝を迎えた。空の青さはどこまでも深く、中天にうっすらと綿あめのような雲が浮かんでいる。秋らしい朝は今年はじめてと言ってよい。公園のカエデは色づきはじめ、神社の曼珠沙華は満開である。陽ざしがやわらかく、冷えた空気を少しずつあたためているようだ。陽だまりにいると、ぽかぽかと身体が温まる。朝、気持ちよいひとときを過ごすと、一日、幸せな気持ちで一日が過ごせる。そのことをブログに書くと、幸せが身体に刻印される。
昨日、山の仲間が、収穫した枝豆とカボチャを届けてくれた。さっそく、茹でて食べると、甘味といい香りといい、秋を感じさせてくれた。畑づくりから引退した身には、ありがたい限りだ。こう書いていると、玄関のチャイムがなり宅配便である。千葉に住む娘から、生ピーナツおおまさりが送られてきた。塩ゆでして食べるピーナツだ。なにか、今年はたくさんの知り合いから、食べるものをいただいている。知り合いの方たちから、生かされている、という感謝を実感している。
秋のいい日に河上肇の詩をかみしめてみる。題して「老後無事」。老いてからの清澄な心のありよう。
たとひ力は乏しくも
出し切ったと思ふこころの安けさよ。
捨て果てし身の
なほもいのちのあるままに、
飢え来ればすなはち食ひ、
渇き来ればすなはち飲み、
疲れ去ればすなはち眠る。
古人いふ無事是れ貴人。
羨む人は世に無くも、
われはひとりわれを羨む。