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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

卯の花

2019年05月22日 | 日記

古来、卯の花とホトトギスはつきものである。唱歌にも「卯の花匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて」とある。そして、この二つは初夏のシンボルである。ところで、卯の花は空木の花のことを言うが、空木には色んな種類がある。写真の花はショウキウツギで、このほかにタニウツギ、ノリウツギ、ヒメウツギ、フジウツギなどなど。木のなかが空洞になっている特徴がある。唱歌の卯の花は、白い花が似合うような気がする。

卯の花をめがけてきたか時鳥 子規

枕草子に「卯の花車」の記事が見える。初夏の5月ともなれば、宮中の女房たちも、戸外に出かけ、卯の花やホトトギスの声を聞きに出かけて行く。実は、この日中宮は、女房たちに戸外の卯の花とウグイスで、歌を詠めとの課題を出した。

「卯の花いみじう咲きたるを折りて、車の簾、かたわらなどにさしあまりて、おそひ・棟などに、ながき枝を葺きたるようにさしたれば、ただ卯の花の垣根を牛にかけたるとぞ見ゆる。」

女房たちは、卯の花で飾った牛車の様子を見て、笑い、供のものも、戸外で合流しようとしていた侍従が慌てふためいている様子に打ち笑い、歌を作るどころではなかった。枕草子にしては、この季節を謳歌する、女官や侍従が打ち砕けて笑い合う場面を、長文で述べている。卯の花とウグイスと、初夏の戸外というシーンならでは場面である。


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