
時雨のような雨になった昨日、火が恋しくなるような秋寒であった。一転して今日は青空が広がり日差しが暖かい。夜寒という言葉があるが、日中は汗ばむような陽気でも、夜にはセーターが欲しくなる。
秋寒し舟にかぶさる星の数 花讃女
ここしばらくの楽しみは、登山のほかは「読書の秋」である。松本侑子訳「赤毛のアン」から始まって、「アンの青春」に続いて、今朝、「アンの愛情」を読み終えた。来年のNHKの朝連ドラは、「赤毛のアン」の翻訳で知られる山岡花子の波乱万丈の半生を描いたものに決まった。「赤毛のアン」は児童文学のジャンルに加えられたのは、山岡花子の翻訳よって日本に紹介されたことが大きい。
松本侑子はインターネットで公開されているモンゴメリの「アンシリーズ」の原文をダウンロードして翻訳を進めている。そのため、従来の山岡花子の児童向けのものとは違う、本当の「アンシリーズ」になっている。1908年に書かれた「アン」が世界中の読者に受け入れられたのは、この3冊を読んで納得できる。モンゴメリは「アン」題材にした執筆を時折中断した。モンゴメリのもとには、世界中の少女たちから続編を読みたいとの手紙が寄せられた。
100年前のカナダ・プリンスエドワード島の自然や風物が見事に描かれている。そこで育てられた孤児の「アン」は、育ての親の愛情とカナダの島の風土によってすくすくと育っていく。知人の娘さんが、カナダの青年と結ばれて生活している。このことも、この小説を楽しみながら読む動機になっている。来年の朝のドラマに、「アン」の翻訳者が登場するのは興味深いと同時に、この新訳もさらに多くの読者を得ることを期待したい。