
きのうの晴天がうそのような雨模様。気温が下がって秋の時雨というべきか。宮城県の民謡に「さんさ時雨」というのがある。初めて山形に来たとき、宮城出身の友人が酒の席でこの「さんさ時雨」を唄い、この歌は夜這いの歌だという話を聞かせてくれた。
さんさ時雨か 萱野の雨か 音もせできて濡れかかる
この「さんさ」は「様さ」からの転用であると説いているのは慶大教授であった池田弥三郎先生である。様は殿、君などと同様に女性から男が親愛の情で呼ばれる称だと説明しながら江戸小唄を引き合いに出している。
「晩に忍ばば背戸屋の小窓、打つや砧の浮き拍子、様が来たかと窓から見れば、様は様でもお月様、しょんがえ」
この伝でいけば、「さんさ時雨」は「わたしのいとしいお方は、萱野の雨が静かに降って萱野を濡らすように、いつもこっそりと忍んできて私をいつくしんでくれる」という意味であることを説いている。池田先生の解説を見ると、友人の「夜這い」説もあながち、当たらずも遠からずというところか。一昨夜の満月は、昨夜は雲に隠れ、今日は雨に遮られてしまった。パリーグの楽天のリーグ優勝も明日に持ち越された。