みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0124「謎の女」

2017-12-21 18:45:38 | ブログ短編

 香苗(かなえ)は二泊(はく)三日の旅(たび)に出た。結婚(けっこん)してから女友だちと旅行(りょこう)に出るのは始めてだ。でも、ちょっと心配(しんぱい)もあった。夫(おっと)ひとりで家のこと大丈夫(だいじょうぶ)かしら?
 ――家に帰った香苗は、恐(おそ)る恐る玄関(げんかん)を開けた。夫は出かけているのか、声をかけても返事(へんじ)がなかった。彼女はキッチンから居間(いま)と部屋を見回(みまわ)した。意外(いがい)ときれいに片付(かたづ)いている。いや…、前よりきれいになっているかもしれない。彼女は、そう思った。
「へえ、やるときはやるんだ」香苗は感心(かんしん)したようにつぶやいた。
 その時、後ろから声がした。彼女が振(ふ)り返ると、そこには夫が驚(おどろ)いた顔で立っていた。
「なんだ、いたの?」
「ああ…」夫は妙(みょう)な作(つく)り笑(わら)いをしながら、「おかえり…。早かったね」
 夫の反応(はんのう)は明(あき)らかにおかしい。香苗はソファの上に見馴(みな)れないものがかけてあるのに目がとまった。手に取ってみると、それはエプロン。夫にどういうことか訊(き)こうとしたとき、玄関のチャイムが鳴(な)った。夫は玄関に走る。玄関で女の声が聞こえたかと思うと、ずかずかと若(わか)い女が上がり込んできた。その女は、香苗が持っていたエプロンを見つけると、
「それ、私のです。忘(わす)れちゃって。もうほんと、私ってそそっかしくって」
 若い女は香苗からエプロンを受(う)け取ると、そのまま出て行ってしまった。
<つぶやき>彼女はいったい誰(だれ)だったんでしょう。夫が雇(やと)った家政婦(かせいふ)さん? それとも…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする