みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0113「最強だから…」

2017-12-03 18:38:41 | ブログ短編

 佑希(ゆうき)は若いながらも優秀(ゆうしゅう)な刑事(けいじ)で、今まで何人もの犯人(はんにん)を捕(つか)まえていた。でも、今日は非番(ひばん)で、彼とデートの真っ最中(さいちゅう)。フリフリの服(ふく)を着て、まるでお姫様(ひめさま)のようだ。彼には、仕事(しごと)は〈公務員(こうむいん)だよ〉としか言っていなかった。
 二人は腕(うで)を組(く)んで歩いていたが、後ろから聞き覚(おぼ)えのある声がした。彼女が振(ふ)り向くと、同僚(どうりょう)の刑事たちが男を追(お)いかけてこっちへ向(む)かっていた。彼女の目つきが一瞬(いっしゅん)に変(かわ)る。腕を組んでいた彼を突(つ)き飛(と)ばすと、男の前に立ちはだかった。そして、あっという間(ま)に男を投(な)げ飛ばした。そして、駆(か)けつけた刑事たちが男を取り押(お)さえる。
 佑希はすぐさま、彼のもとへ走った。彼は何が起(お)きたのかまったく分からなかった。
「大丈夫(だいじょうぶ)?」佑希は彼を助(たす)け起こすと、「気をつけてよ。こんなところで転(ころ)んじゃって」
 それを見ていた若い刑事が声をかけた。「柏木(かしわぎ)?」
 佑希は振り返ると、後輩(こうはい)の刑事を睨(にら)みつけた。その目は、〈あたしは非番なの。邪魔(じゃま)しないで!〉と言っているようだ。若い刑事は、それ以上なにも言えなくなった。佑希は彼に気づかれないように、また腕を組み楽しそうに笑いながら行ってしまった。
「そっとしといてやれ」年上(としうえ)の刑事が彼女を見送りながら言った。「柏木も必死(ひっし)なんだよ。今まで何人もふられてるからなぁ。でも、今度(こんど)のはよさそうじゃないか」
<つぶやき>いくら腕力(わんりょく)が強くても、優(やさ)しくされたいし甘(あま)えたい時もある。女ですもの。
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