パーティ会場。客の中に紛れ込んでいた刑事たちが、すぐに出入口をふさいだ。
稲垣「(驚き)どうしたんだ。なんだ、君たちは…」
神崎「私が警察を呼んでおきました。事件を未然に防ごうと思いまして」
稲垣「警察? なんてことを…!」
客の中から、年配の警部が近寄ってきて、
警部「大河原泰造だな。詐欺容疑で逮捕状がでてる。観念するんだな」
稲垣「なにを言ってる。俺は…」
警部「お前の仲間は、すでに我々が拘束した」
稲垣「クソッ…!」
神崎「警部、ダイヤは?」
警部「大丈夫です。いま捜させてます。(蛍光テープを取り出し)これを貼っといたんで、連中の動きはちゃんとつかんでますよ」
会場にある熱帯魚の入った大きな水槽の中を、刑事たちが手を入れて探っている。
刑事「ありました。警部、見つけましたよ」(走ってきて、ダイヤを警部に渡す)
警部「ほらね、日本の警察も捨てたもんじゃないでしょ」
神崎「(ダイヤを受け取り光にかざす)やっぱり、にせ物ですね」
警部「本物が見つかるわけありませんよ。深い海の底に沈んでるんですから」
神崎「そうですね」
警部「(部下に)おい、連行しとけ」
刑事たち犯人を連行していく。神崎は明菜に近づき声をかける。
神崎「今日はありがとう。おかげで…。(きょろきょろしている明菜に)どうしたの?」
明菜「あの、何か違うんです。停電になる前と…」
神崎「えっ?」
明菜「私、間違い探しが得意なんです。だから、気になっちゃって」
明菜は照明のシャンデリアに目を止めた。警部も何ごとかと近寄ってくる。
明菜「みーつけた。あそこです。(シャンデリアの一つを指差す)あそこに、何かあります」
探偵事務所。翌日。明菜が訪ねてきていた。
神崎「まさか、あんなところに本物のダイヤがあるとはね。君は、よく見つけたね」
明菜「でも、どうやってあんなところに置いたんでしょう」
神崎「さあねぇ。今日、帰るんだろ。元気でね。また…」
明菜「あの! 私を、ここで雇ってもらえませんか? お願いします」
神崎「えっ、何を言い出すんだ、君は」
明菜「私、ちゃんと確かめたいんです。兄のことを。そうじゃないと…」
神崎「でも、山岡は海で遭難して…」
明菜「でも、兄は見つかってません。それに、昨夜の会場にいたんです。私、はっきりと」
神崎「帰りなさい。もうこれ以上、かかわらない方がいい」
<つぶやき>お兄さんには何か秘密があるのでしょうか。それは、また次の機会に…。
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