みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0126「一生分の幸せ」

2017-12-24 18:38:58 | ブログ短編

「僕(ぼく)と付き合ってくれないか?」
 隆(たかし)は一大決心(いちだいけっしん)で由香里(ゆかり)に告白(こくはく)をした。
「えっ、あたしと?」由香里は顔を赤らめて、「でも、でも…」
「僕は、君のことが好きなんだ。前からずっと」
「でも…、それじゃ幸(しあわ)せになりすぎてしまうわ。だからあたし…、付き合えない」
「僕のこと好きじゃないってことか…」隆は肩(かた)を落としてうなだれた。
「好きよ、あたしも。でもね…」由香里は隆に背(せ)を向けて、「人の幸せの分量(ぶんりょう)はね、生まれた時に決められちゃうの。だから、もしあなたと付き合ってしまったら、一生(いっしょう)分の幸せを使い切ってしまうかもしれないでしょ。あたしは、少しの幸せで良いの。その方が、最後(さいご)まで幸せでいられるじゃない」
「大丈夫(だいじょうぶ)だよ」隆は由香里を振(ふ)り向かせると、「僕が、幸せにしてあげる」
「ダメよ。そんなこと、できないわ。もう決まってるんだから」
「そんなことないさ。そりゃ、僕なんかじゃ…。君のことほんとに幸せにできるのか、自信(じしん)があるわけじゃない。けどね、僕はこう思うんだ。二人が笑(わら)っていられれば、幸せだって2倍になる。もし、子供(こども)ができれば3倍、4倍にだってなるんだ。二人で、幸せを増(ふ)やしていこうよ。僕は、君の笑顔を見てるだけで、じゅうぶん幸せなんだ」
<つぶやき>幸せって何でしょうか? 人それぞれ、いろんな幸せがあるんでしょうね。
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