みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0971「あいうえお殺人事件7」

2020-10-19 17:54:24 | ブログ短編

 その時、捜査本部(そうさほんぶ)に電話が入った。電話に応対(おうたい)した刑事(けいじ)が血相(けっそう)を変えて叫(さけ)んだ。
「権藤(ごんどう)さん、埼玉県警(さいたまけんけい)から…、犯人(はんにん)を逮捕(たいほ)したそうです!」
 権藤は気が抜(ぬ)けたように呟(つぶや)いた。「何だと? それじゃ…」
「まだだ…」探偵(たんてい)は頬(ほお)に手を当てて、「これはまずいなぁ。次の犯行(はんこう)が…」
 権藤は、「何を言ってる。犯人は逮捕されたんだ。次の犯行なんか――」
「だから言ってるでしょ。これは連続殺人(れんぞくさつじん)じゃない。それぞれ別々の犯罪(はんざい)です。犯人も一人じゃない。急がないと、犯人に逃(に)げられるかも…。さぁ、頼(たの)んだことをやってください」
 権藤は探偵に詰(つ)め寄って、「ちゃんと説明(せつめい)しろ。そうじゃなきゃ動(うご)けんだろ」
「分かりました。そもそも最初(さいしょ)から見立(みた)てが間違(まちが)ってたんです。殺害方法(さつがいほうほう)も違うし、二人の被害者(ひがいしゃ)の接点(せってん)もない。連続殺人とする根拠(こんきょ)はあの犯行声明(せいめい)だけ…。僕(ぼく)が注目(ちゅうもく)したのは、なぜそんなものが送られてきたのか? その答えは、今回の殺人で明白(めいはく)になりました。この犯人は、犯行声明を送りつけて、これが連続殺人だと思わせたかったんです。もし埼玉の逮捕の報道(ほうどう)を犯人が見たら――」
「逃げ出すだろうなぁ」権藤は呟いた。「よし、みんなで手分(てわ)けするぞ。急げ!」
 刑事たちは飛び出して行った。探偵は権藤を呼(よ)び止めて、
「僕たちは、<え>で始まる遠藤(えんどう)さえ子を当(あ)たりましょう。陽子君、君は――」
 陽子は待ってましたとばかり、「行きますよ。あたしは助手(じょしゅ)なんですから」
<つぶやき>いよいよ犯人を追いつめて…。次回で終わらせないと、話が長くなってます。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする