とあるマンションの一室。窓(まど)の外を眺(なが)めながら、柊(ひいらぎ)あずみは缶(かん)ビールを片手(かたて)に何か考え込んでいた。ソファーの上では、ハル・アキの姉妹(しまい)が眠(ねむ)り込んでいる。
玄関(げんかん)の呼鈴(よびりん)が鳴(な)った。あずみはビクッとして玄関の方を見た。こんな遅(おそ)い時間に誰(だれ)だろう? 彼女はモニターの画面(がめん)を見た。そこに映(うつ)っていたのは、彼だった。あずみは彼に住所(じゅうしょ)を教えてしまったことを思い出した。彼女は姉妹のことを気にしながら玄関に向かった。そっと扉(とびら)を開けると、彼を中へ引き入れた。彼女は小声で彼に言った。
「どうしたのよ、こんな時間に…。あの、いま、知り合いが泊(と)まりに来てて…」
「あ、そうなのか…。悪(わる)いな、こんな時間に…。実(じつ)は、伝(つた)えといた方がいいと思って」
「何かあったの? まさか、あいつらの手があなたに…」
「いや、そうじゃない。ちょっと…妙(みょう)な噂(うわさ)を聞いたんだ。警視庁内(けいしちょうない)に新しい部署(ぶしょ)ができたらしい。そこに集められたメンバーなんだが、どうやら外部(がいぶ)の人間(にんげん)のようなんだ」
「警察官(けいさつかん)じゃないってこと?」
「ああ。何をやっているのかちょっと調(しら)べてみたんだが…。どうも、非合法(ひごうほう)の捜査(そうさ)をしているようなんだ。もしかしたら、能力者(のうりょくしゃ)たちを監視(かんし)しているのかもしれない」
「それは、ないと思うわ。あいつらが表立(おもてだ)って動くはずないもの。でも…。あなたは、これ以上(いじょう)かかわらないで。そのメンバーに能力者がいるかもしれないから…」
<つぶやき>警察内で何が起きているのでしょうか? ちょっと気になっちゃいますよね。
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