みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0534「嫌いじゃない」

2019-05-04 18:21:53 | ブログ短編

 僕(ぼく)の彼女は謎(なぞ)だらけ。子供(こども)っぽいところがあるかと思うと、意地(いじ)っ張(ぱ)りで頑固(がんこ)なところも。それに変なところにこだわりを持っている。彼女のことを知れば知るほど、彼女のことが分からなくなる。
 でも、僕は嫌(きら)いじゃないよ。君(きみ)を見てると面白(おもしろ)いし、飽(あ)きることがない。今も、僕の方を向いてアヒル口(くち)で怒(おこ)っている。僕、何か気にさわることでも言ったかな? まったく心当(こころあ)たりがない。でも、これもいつものこと。とりあえず、謝(あやま)っておこう。
 ――彼女のファッションにはワンポイントでピンクが入る。たぶん、彼女のこだわりのひとつなんだろう。僕はさり気なくピンクが好きなのかと訊(き)いてみたことがある。でも彼女は、「別に、そんなことないけど」
 これはどういうことなんだ。僕は彼女の真意(しんい)が分からなくなった。それからの僕は、彼女に会うときはピンクを探(さが)すようになってしまった。僕はふと思った。彼女は、おばさんになっても、これを続けるんだろうか? ちょっと見てみたいな。僕は、中年(ちゅうねん)になった二人の姿(すがた)を想像(そうぞう)してみた。手なんかつないで、彼女の服にはピンクのワンポイント――。
 その時だ。突然(とつぜん)、彼女の顔が目の前に飛(と)び込んできた。
「もう、さっきからなにニヤニヤしてるの? 私の話し、聞いてなかってでしょう。もう、どうしてそうなの? 今、大事(だいじ)な話をしてるんですけど!」
 僕は彼女に唐突(とうとつ)に言ってしまった。「君とずーっと一緒(いっしょ)にいたいなぁ。いてくれる?」
<つぶやき>彼女の前では、空想(くうそう)は控(ひか)え目に。ちゃんと話を聞いてあげないとダメです。
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