みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0535「しずく22~ここ、どこ?」

2019-05-05 18:18:56 | ブログ連載~しずく

 月島(つきしま)しずくは突然(とつぜん)、胸(むね)を何かで衝(つ)かれたように後ろへ飛(と)ばされた。そのまま倒(たお)れ込んで尻(しり)もちをついてしまった。あまりの痛(いた)さに、しずくは顔をしかめる。
 しずくがゆっくり目を開けると、そこはどこだか分からない荒(あれ)れ地のなか。学校(がっこう)の屋上(おくじょう)にいたはずなのに…。しずくは目を丸(まる)くして辺りを見回した。
「ここは…、どこ? 私、どうして…。先生…、柊(ひいらぎ)先生!」
 先生を呼(よ)んでも、しずくの周(まわ)りには人の気配(けはい)はなかった。その時、どこからか小さな音が聞こえた。しずくは耳をそばだてる。その音はだんだん大きくなり、はっきり聞きとれて…。それは、何かの唸(うな)り声? そう、何か獣(けもの)の…。どんどん近づいて来ている。唸り声がするのは一ヵ所ではないようだ。前から、後ろから、左から右から…。
 しずくは手に触(ふ)れた折(お)れた枝(えだ)をつかむと立ち上がり、ぎこちなく身構(みがま)えた。だがどこへ逃(に)げればいいのか…。しずくは近くにあった大岩(おおいわ)を背(せ)にして立った。ここなら後ろから襲(おそ)われることはない。唸り声はもう目の前まできていた。茂(しげ)みの間から現れたのは大きな…。
「犬(いぬ)? いや、違(ちが)うわ。これって、まさか…、狼(おおかみ)?! 日本に狼なんかいないでしょ!」
 しずくは、ひとりでテンパっていた。その間にも、狼たちは一歩一歩しずくに近づいてくる。何頭いるのか…、そんなの数(かぞ)える余裕(よゆう)なんてまるっきりなかった。しずくは、やけくそのように枝を振(ふ)り回した。
<つぶやき>しずくはどこまで飛ばされちゃったんでしょう。これってかなりヤバいよね。
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