『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』を観た]

2009-11-27 14:04:14 | 物語の感想
☆面白かった^^

 「電車男」的に<2ちゃんねる>で話題になった、コテハンによるスレッド・エピソードの映画化だそうだ。

 内容は、タイトルから大体推察できる。

 ・・・と、簡単には括っていけなくて、人の行動にはそれぞれ個々の深い理由がある。

 それこそ、ブラックコメディかと思いきや、この作品は、なかなかのビルドゥングスロマンであった。
 
 主人公・マ男(勝男の、会社内での誤植に由来)は、引きこもりのニートであったが、優しく接してくれていた母親の死去に伴い、一念発起、就職する。

 が、その就職先のプログラミング会社が、とんでもなくブラックだった。

 ブラックと言うと、ヤクザ絡みと思われようが、然にあらず、駄目人間ばかりが屯する会社だった。

 かくして、<マ男>は、会社内で多くの責任を押しつけられ、ネバー・エンディング・フルマラソンで限界を迎え、

 そして更に、その「限界」の向こうを見ることになる。

   ◇

 私が今働いている会社は、仕事がなかなか辛い(もっとも、マンガ『ワンピース』の如く、戦いの後には「宴」があり、三日にいっぺんはドンチャン騒ぎであるが)。

 だから、<マ男>の体力的な辛さがちょっとだけ分かる。

 しかし、<マ男>が巡り合う、会社内の非常識な人間の数々は、傍から見ていても面白い。

 映画表現的にも、仕事に挑む自分のイメージを、軍隊の行軍に例えたり、

 会社内の小さな権力争いを三国志に例えたりと、ビジュアルでも楽しめる。

 <マ男>と言うからには、会社内の奇矯な人物を見つめる心の中のツッコミの「間(ま)」も見事である。

 私は、主役を演じる小池徹平の見事な「間」に、何度も「ブフッ!」と吹き出した。

 しかし、物語は、会社内にいても、そうして他者を客観的に見つめていた<マ男>が、客観的でいられなくなった頃(会社と言う共同体への愛着)から、ネタ映画ではなく、一つの一大青春作品の様相を示す。

   ◇

 私、夜勤明けで眠いので短く語るが、

 腐った会社にいて、唯一の良心と言える先輩がいて、

 田辺誠一演じる藤田さんは、横暴なリーダーの理不尽な要求に困っている<マ男>を助けてくれ続ける。

 その藤田さんが、一身上の理由で退社することになり、それこそがまさに、<マ男>の限界に至る道だった。

 先輩の理不尽な仕打ちでもなく、会社のシステムの問題でもなく、倒れた父親への心配でもなく、それまでの引きこもりの自分になかった先輩との深い人間関係が「限界」を感じさせたのだ。

 会社の屋上で、二人は心のうちをさらけ出す。

 この物語のクライマックスで、私は、なかなか感動したのだが、ただ、その先輩とのつながりが、物語の中で繰り返されてきて、その二人の思いも察しがついてしまっていたので、このシーンがテーマ的な繰り返しになり、新鮮さがなかったのが痛いかな。

   ◇

 無能な、「ジャイアニズム」リーダーを演じた品川裕は、いかにも薄っぺらでうまかった。

 更に薄っぺらい人間の池田鉄洋の軽さも凄かった^^;

 派遣社員を演じたマイコは相変わらず可愛かった。

 私は、「常識のベールを被った非常識人」とされた役柄を演じるマイコが、それでも美しいゆえに、たまらなかった^^

   ◇

 作品中、何度も、引きこもりであった頃の自分の幻影が現われ、主人公に状況からの逃避を促す。

 しかし、最後、「俺は、お前でいたときも、限界だったんだよ」と言い、誘惑を払いのけ、

 <マ男>は、それまでの「限界(殻)」を打ち破るのだった。

                                     (2009/11/27)
コメント (10)
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