よくも厭きずに 船乗る俺に
数え三年 女で来たな
酒が取り持つ 独り身どうし
転がりこんでの しおさい荘は
住めば都の 八畳間
嘘のつけない 気質のお前
捨てた男は 大馬鹿野郎
なまじ半端な 情けに染まりゃ
ほころぶだけだろ 抱き寝のあとは
これも縁(えん)だよ 浜稼業
仲がいいね と 野暮云う女将
それはいいから ぬる燗 出せよ
俺は海しか 行くとこないし
加工場づとめで いいのか お前
人が聞いたら 縁(えん)と云え
ひとこと:御大・船村徹先生のお弟子さんから歌手デビューして3年の走裕介。
まだまだ知名度は低い。基本的には線が細いのと、楽曲が地味すぎないか。
船村演歌には珍しく、男性でず~と女歌の作品が多いので
よほどインパクトのある楽曲でないと浮上はむつかしい。
そんなイメージから、この詞は今までとは違った真逆の男歌を書いた。
男は無骨な漁業の船乗り、女は過去ありで魚の加工場で働く。
何処にでもありそうな浜の男女の縁を男の側から書いた。
船村先生は話し言葉をメロディーに乗せるのが抜群にうまく
それでいて起伏のあるメロディーを紡ぎ出す大作曲家。なまじな曲はつかない。
走サンも骨太な歌唱がほしい。
なお前回は「北愁歌」をUPしている。こちらの方が詞はやわらかい。