銅版画制作の日々

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4人の男たちの人生を壊した “ゾディアック”

2007-07-12 | 映画:シネコン

 

追ったが故に壊れ行く男たち。それでも追わずにはいられない

 

全米史上初の劇場型連続殺事件。奇妙な暗号で世界を挑発した犯人は“ゾディアック”と名乗った。

 

6月19日、MOVX京都にて鑑賞。実在する“ゾディアック事件”をもとに、「セブン」のデビッド・フィンチャー監督が突きつける、今もなお継続中の謎「ゾディアック」・・・・それは近づけば必ず嵌る。あまりにも危険な罠。真実が知りたいその欲求はおそろしいまでに伝播する

 

ここに描かれるのは、ゾディアックに関わり、その謎に魅入らされて、人生を狂わせられた4人の男たちだ

 

“ゲーム”の舞台となった新聞社で、トップを走る記者

ポール・エイブリー(ロバート・ダウニーJr)

 

暗号の解読に取り憑かれた風刺漫画家

ロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)

 

デイブ・トースキー刑事(マーク・ラファロ)


ゾディアック事件最前線に立ち、全米の注目を集める2人の刑事

そしてもう一人はウィリアム・アームストロング刑事(アンソニー・エドワーズ)

 

 

1969年7月4日、カルフォルニア州バレーホ。ドライブ中の若いカップルが拳銃で襲われた。男性はかろうじて一命を取り留めたが、女性は9発もの銃弾を浴びて絶命した。警察に事件を通報してきた男性は、の向うでこう言った・・・・・「犯人は俺だ」

 

事件後ほぼ1ヶ月後の8月1日。新聞社に一通のが届く。「俺は去年のクリスマスにハーマン湖でティーンエイジャーをふたり、7月4日にはバレーホで若い女を殺した」後に“ゾディアック”と名乗る男からの第1通目のだった。

 

ふたつの事件の殺人を告白し、犯人しか知りえない事件の詳細を書き記したそのには、さらに不気味な暗号文が添えられていた。新聞にその記事を載せないと、大量殺人を決行するという脅しともに。

 

こうして「ゲーム」は始まった・・・・・・。

 

新聞に掲載された暗号文を読み解こうと、一般市民までもが解読に熱中したしかし誰よりもこの異常事件に熱中したのは、が送られてきたサンフランシスコ・クロニクル社の花形記者ポール・エイブリーと暗号に並々ならぬ関心を寄せる風刺漫画家ロバート・グレイスミスだった。

 

暗号を解いたのは、何とサンフランシスコ近郊に住む現役教師とその妻。しかしそこから犯人の正体を知ることは出来なかった。暗号解読に取り憑かれたグレイスミスはさらに執念深く暗号文を追い続ける

 

“ゾディアック”のさらなる凶行と手紙の挑発は続く9月27日、再び若いカップルが襲われるナイフで刺し、女性は死亡。生き残った男性の証言によると、黒い袋状の覆面を頭からすっぽり被ったゾディアックの異様な風体が明らかになる。
10月11日、サンフランシスコ市内で、タクシー客を装った男に、運転手が射殺される。“ゾディアック”はのなかで犯行を認め、さらに現場近くで、警察官に尋問を受けた事も告白そしてあの夜なら、捕まえられたかもしれないのになんて挑発的発言も・・・・。

 

いよいよ、この“ゾディアック”事件追跡のため、凄腕の刑事が登場することに。サンフランシスコ市警の刑事2人、デイブ・トースキーと相棒のウィリアム・アームストロングだ。

 

警察で、新聞社で、盗り憑かれたように“ゾディアック”を追いかける4人の男たち。次々と送られてくる“ゾディアック”の、全米中に飛び交う偽情報そして模倣犯の出現

 

そんななか、やがてひとりの容疑者が浮かび上がる。しかし決定的な証拠は何もない。いくつもの手がかりがあるものの、証拠は残さず、常に一歩先で嘲笑うゾディアック。真相を突き止めようとする執念は、彼らを奈落へと引きずり込んでいく。エイブリーはに溺れるようになり、アームストロング刑事は殺人課をトースキー刑事は証拠捏造の疑いをかけられ、転落の道を辿るただひとりグレイスミスはまだ諦めていなかったそれゆえに彼の人生もまた変わっていくことに

 

 
デビット・フィンチャー監督 ぼくが7才のとき、自宅からわずか20マイルほどのところで“ゾディアック事件”が起きたんだ。

 

実は監督自身、連続殺人鬼映画を二度とやりたくなかったそうだ。でもサンフランシスコという舞台に大きなポンテンシャルを感じた。1960年代後半から1970年代の北カルフォルニアはもともとクレイジーなところで、そこに殺人予告を送りつける謎の殺人鬼が現れたわけだから、その狂騒たるものは凄まじいものだった。犯人の似顔絵が普通の郵便局員のようで、平凡な顔をした男が、十代の若者を射殺しているギャップがなんともシュールに思えた。また、グレイスミスが“ゾディアック事件”に取り憑かれていくというキャラクターも気に入った彼の執着する姿勢に共感できたし。ただ、何故?どうして?ここまで惹かれたのか、自分でもいまだにわからないと。

 

スター俳優をあえて起用せずこの映画に溶け込めそうな役者を求めていた。ケビン・コスナーやメル・ギブソンといったスターは好きだけど、彼らを起用すると、彼らのために作られた映画になってしまう。最初から主要の3人は希望のキャストだったが、スタジオにとっては、理想のキャストではなかったようだ。結局、スタジオを渡り歩くことになったそうだ。

 

事件の全容を細部まで、しっかり描きたかったそうだが、それをやってしまうと、観客の忍耐力を超えた映画になってしまうと・・・・。実際、試写を観た観客から、細部はどうでもいい長すぎると文句を言われたようだ。

 

映画は娯楽だけど、でも“ゾディアック”のせいで今でも、傷を負って生きている人がいるから、いい加減な映画は作れない。楽しさを与えつつ、事実を出来るだけ詰め込むという綱渡りを強いられたと語る。

 

未解決のままであるゾディアック事件。殺人の数は現代の殺人事件からしてもとるに足らない。ただ数字ではなく、何通ものと、その普通の風貌、そして逮捕されていないという事実。何の目的で殺すの?何故に挑発するのか?のなかの謎解きは?金銭目的や怨恨目的でもなく。一体何のために?すべて理解できないゾディアック事件の真相。この事件から犯罪心理学が生まれたそうだ。

 

謎の多い事件に翻弄されたグレイスミスは全てを失うことに・・・・。

 

ZODIAC ゾディアック 公式サイト

 

 

 

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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
事件の裏に (やまさん)
2007-07-14 04:08:40
TBありがとうございます。

事件の謎解きも良かったですが、
ゾディアックに人生をかけざるを
得なかった4人の男たちのドラマが
さらに良かったですね。

この映画を見て、新聞などで報道される
特殊な事件の裏に、刑事や事件に近い人の
人生が、かなり変わっているんだろうなと。

また、宜しくお願いします。
返信する
TBありがとうございます (sakurai)
2007-07-14 10:48:33
やっぱ長すぎましたね。
2時間越える映画って、かなりの自信作で、重たいものが詰め込まれてて、集中力を必要としますが、これは結構きつかった。
やっぱ映画にはカタルシスが似合いますわ。
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こんにちは。 (ジョー)
2007-07-14 10:52:57
え、試写ではこれより長いバージョンがあったんですか。観たいなあ。事件がいっこうに進展しないイライラ感を実感するには二時間半では短すぎます。あと二時間半あれば恍惚となって(疲れきって?)映画館を出れるのに。
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TBありがとうございました (くまんちゅう)
2007-07-14 12:44:17
こちらからはTBお返し出来ませんでした、、、
ちょっと長かったですね、同じような話の繰り返しで、飽きが来て、、前半部を短くすれば面白く見られた気がします。
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TBありがとうございます。 (moriyuh)
2007-07-14 13:54:28
mezzotint_1955さま

TBありがとうございます。
私もTBさせていただきました。

私は結構好きな内容なんですが、どうも結末がスッキリしない感じでした。そりゃ仕方ないのかな?とでも
やはり原作本には勝てないのかな?と思ったりもして…。

狂わされていくというか、はまっていく男性達を見ていると、可哀相と思いつつ、執着心の恐ろしさ?を知った感じです…。

執着心といえば、男女でこんなに差があるなんてね。とも…「アルスキャンダルの覚書」とちょっとくらべてみたりしました…。

また遊びに参ります…。


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こんばんは! (アイマック)
2007-07-14 18:19:39
ほんと長かったけど、丁寧につくられてありました。
ドキュメンタリー調で、私は気にいりました。
あいまいなラストも、未解決事件の闇の深さを感じたし、
この事件にのめりこんだ人間たちの心理がよく描かれてあったと思いますよ。
疲れたけどね^^;
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