銅版画制作の日々

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君のためなら千回でも:The Kite Runner

2008-04-04 | 映画:ミニシアター

  

人はなぜ、大切なものが見えなくなるのか?

人はなぜ、時が経たないとそのことに気づかないのか?

失ってからしか、その重みは量ることが出来ない。

今だからこそ、君に伝えたいことがある。

 

3月7日、京都シネマにて鑑賞。2003年、その衝撃が世界中を感動の渦に巻き込んだ。無名の新人作家、カーレド・ホッセイニのデビュー作がNYタイムズ・ベストセラーリストに、64週間ランクイン驚異的な記録を残し300万部以上を超える大ベストセラー小説となった。(カーレド・ホッセイニをクリックして下さい。)

 

 

あまり知られていないアフガニスタンの生活を舞台に「君のためなら千回でも」は二人の少年の絆が、ある過ちをきっかけに、引き裂かれ運命となる。

誰もが少なからず抱いている後悔の念、だが償いのその一歩を踏み出すのに遅すぎることはない。過去の過ちを正し、「許し」を求めたいと願ったことは誰もがあるはず。そんな全ての人に通じる物語である。

 

皆さんは信頼できる、大事な友人がいますか?私は利害関係もなく、真の友情で接することの出来る友だちの存在っているのかどうか?疑問ですが・・・・。でもこの映画を観るとそんな邪念もなくなるかもしれません。無償の愛じゃないけど、無償の友への思いの偉大さを、大きく感じました。

 

2000年、サンフランシスコ。小説家を目指し、アメリカでささやかであるが、幸せな日々を送るアミール(ハリド・アブラダ)。ついに子どものころからの夢だった自分の小説が出版される。ところがその当日、運命を変える一本のが鳴るかっての故郷、アフガニスタンにいる恩人ラヒム・ハーン(ショーン・トーブ)からだった。死期が近いと悟る彼はアミールにどうしても伝えたい重大な真実があると。20年ぶりに故郷へ帰ってきて欲しいと頼む。そして最後に“やり直す道がある”と言ってを切る。アミールはその言葉で、心の隅に追い払っていた過去を思い出す。

 

時は1970年代のアフガニスタン。ソ連侵攻前の平和な時代。子どもたちの間では冬の伝統行事として、合戦が行われていた。裕福な家庭に生まれたアミール(ゼキリア・エブラヒミ)。母は出産と同時に死去。父親のババ(ホマユーン・エルシャデイ)に育てられる。ババは周囲からも慕われる厳格な父であった。アミールは母を自分が殺したと思い、父に疎まれていると不安を抱きながらも、その一方で愛されたいと思い続けている。

そんなアミールを、父の友人ラヒムとハッサン(アフマド・ハーン・マフムードザダ)が支えてくれたハッサンは召使の子どもで、アミールよりひとつ年下。幼いころから一緒に育ち、いつも一緒に行動した。

 

 二人で映画を観たり・・・・。

 

字の読めないハッサンに、物語を読んであげたり・・・・。

誕生日にはをあげたり、主従関係を超えた兄弟のような間柄だった。しかしその絆と信頼は一生続くものではなかった

 

冬休みの最大イベント、揚げ合戦の日、アミールとハッサンは人生で最高の栄誉を得ることに。しかし同時に思いがけない出来事が、二人の関係を冷酷に断ち切ることに

 

切れて飛んでいったを見つけるために、ハッサンは“君のためなら千回でも”とアミールに伝えて・・・・・・。

その途中、ハッサンは不良から暴行を受けるそのことを見ていたのに、アミールは助ける勇気はなかった気まずさから、ハッサンを遠ざけることに。そして事態は、二人を決定的に引き裂く。ソ連侵攻、アミールは後悔の念を持ったまま、アメリカに亡命。二人が再び会うことはなかった。

 

時は流れーーーーアミールはアメリカで生活、大学卒業後、ソラヤ(アトッサ・レオーニ)という女性と結婚、父ババの死。多くの出来事を経験しながらも、裕福ではないが幸せな日々を送っていた。そして夢が叶ったその日、そのが鳴った。

ラヒム・ハーンの言葉を信じ、パキスタンへと。久々にラヒムと再会に喜ぶそして彼から聞いた衝撃的な事実ハッサンはタリバンに殺され、息子ソーラブ(アリ・ダネシュ・バクティアリ)は連れ去られたらしい。そして、ハッサンが残したアミールへのを手渡された。

その内容は過去のことにはいっさい触れず、ただ、アミールに対する信頼の気持ちが綴られていた。時がいくら流れても変らぬ想い。アミールは、ハッサンの気持ちに応えるために、タリバン独裁政権下にある厳戒態勢のアフガニスタンに向かう

そして言えなかったこの気持ちを彼に伝えるため“君のためなら千回でも”と・・・・。

しかし、かっての故郷に待っていたものは、残酷な運命だった。

ここからは息を呑むほど、怖いシーンも見ることになる。ハッサンの息子を探すために、アミールは勇気を持って乗り込むハッサンが暴行を加えられたとき、勇気を出せなかったアミールはハッサンの思いに応えるためにも、逃げることは出来ない。彼の思いを胸に何とかしたい

記事を書きながら、映画の色々な場面を思い出し・・・・・がこぼれて来ました。

ラストにアミールが、ソーラブに言います。“君のためなら千回でも”と・・・・。そのシーンが焼きついています。

 

監督は、「チョコレート」(01)、「ネバーランド」(04)などでおなじみの、マーク・フォースター。右側の方です。

 

キャストプロフィール

 

 アミール(ハリド・アブラダ)


1980年、英国スコットランド生まれ。エジプト系英国人。ポール・グリーングラス監督の「ユナイテッド93」で映画デビュー、何とテロリスト役だったそうだ。

 

 

 アミール:少年時代(ゼキリア・エブラヒミ)

1996年、アフガニスタン・カブール生まれ。父親は、戦時下のカブール市街でロケット弾にて死亡する。叔母・叔父によって育てられる。本作出演するまで、演技経験ない。

 

 父 ババ (ホマューン・エルシャディ)

1947年、イラン生まれ。ヴェニス大学で建築学を学び、建築家としてキャリアをスタート。俳優としては97年のアッバス・キアロスタミ監督の映画「桜桃の味」カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞作でデビューし、一躍国際的に注目を浴びる。

 

 ハッサン:少年時代(アフマド・ハーン・マフムードザダ)

1994年、アフガニスタン・カブール生まれ。4人兄弟妹の長男。本作が俳優として初の映画デビュー。

 

 

 ラヒム・ハーン(ショーン・トーブ)

ペルシア系英国人として、イングランドのマンチェスターで育つ。スイスで2年間住んだ後、米国へ。南カルフォルニア大学で学んだ後、タレント・エージェントとの偶然の出会いをきっかけに、80年代末にハリウッドで俳優人生をスタート。「クラッシュ」(04)で、イラン人店主役で注目を浴びる。

 

 ソーラブ(アリ・ダネシュ・バクティアリ)

1994年、アフガニスタン・ガズニー州で5男3女の下から二番目として生まれる。絵を描くことが大好き。

 

 

 ソラヤ(アトッサ・レオーニ)

アフガン=イラン系ドイツ人として、ベルリンで生まれる。ドイツ・イタリア・米国で育つ。12歳のとき、ドイツのTVシリーズに主演。以降欧州各国の映画、TV、舞台出演してきた。

 

 

 ~君のためなら千回でも~

 

※ちょいと、最後にネタばれを・・・・。実は何と二人はだったのですね。心が通じ合うのも、やはり血が通っているからだったのでしょうか?

 

 

 

 

 

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3 Comments

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初めまして^^ (ひろちゃん)
2008-04-05 02:39:19
いつもTBありがとうございます!
読ませて頂いたら、

>記事を書きながら、映画の色々な場面を思い出し・・・・・がこぼれて来ました。

と書いてあって、自分も感想を書いた時が
そうだったので、またその時のことや
映画のことを思い出して、また涙ぐんで
しまいました(^^ゞ
私もラストシーン、君のためなら~が
焼きついています(T^T)
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Unknown (ケビン)
2008-04-14 23:51:30
こんばんは、mezzotintさん。

>償いのその一歩を踏み出すのに遅すぎることはない
う~ん、でもせめてハッサン自身に“君のためなら千回でも”といって欲しかった。
別れた後の二人の運命の差はあまりに溝が深いように感じられました。もちろんハッサンのアミールに対する気持ちはあの頃と同じ決して色褪せないものだったかも知れませんが、逆にそれがアミールにとっては償いきれないほど大きくなってしまったんだと思います。

せめて生きてる間に、会いに行って欲しかったですね。
返信する
素晴らしかった~ (sakurai)
2008-04-19 09:18:36
あの少年たちに尽きましたね。
大人になってからは、ちょっとトーンダウンしてしまうほどの演技だったのですが、演技とは思えないくらいの表情の豊かさがよかった。
でも、今、実際の少年たちは保護されないと、まずい状況にあるとかの話で、心から悲しくなってしまいました。
今から、映画館で、この映画の講座やってきますので、この一週間、どっぷりアフガニスタンに浸ってました。
ターバンでも巻こうかしら。
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