まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Promissory Note

2017-09-03 00:43:14 | 商事法務
○ Promissory Note。日本語で言うと約束手形ですね。約束手形というと決まった様式(手形要件)があり、手形法75条で定められた必要的記載事項を記載しないといけません。といっても日本では実際、銀行と銀行取引約定書締結し、当座取引を行わないと銀行協会所定の統一手形用紙は銀行からもらえませんし、振出が出来ないですね。日本では銀行取引停止処分がありますね。しかし、諸外国には銀行取引停止処分はありませんし、厳密に様式が決まっているわけではないですね。厳密に様式が決まっていないPromissory Note ですから、内容もNote毎に違います。従い、外国ではあまり流通性は無いのではないかと思います。

○ 米国のUniform Commercial Code Article 3には、Negotiable Instrument (流通証券)の規定があります。3-104 Negotiable Instrumentの定義は以下ですね。
  "negotiable instrument" means an unconditional promise or order to pay a fixed amount of money, with or without interest or other charges described in the promise or order, if it:
(1) is payable to bearer or to order at the time it is issued or first comes into possession of a holder;
(2) is payable on demand or at a definite time; and
(3) does not state any other undertaking or instruction by the person promising or ordering payment to do any act in addition to the payment of money, but the promise or order may contain (i) an undertaking or power to give, maintain, or protect collateral to secure payment, (ii) an authorization or power to the holder to confess judgment or realize on or dispose of collateral, or (iii) a waiver of the benefit of any law intended for the advantage or protection of an obligor.
Noteというのは、お金の借用証書ですね。今度の改正民法の587-2条では諾成的消費貸借が明文化されましたが、原則は要物契約ですね。従い、Noteの冒頭には、借用金額や日付を記載して、文章の冒頭には「FOR VALUE RECEIVED,」と書きますね。

○ 米国では、結構Noteは利用されているようでね。何しろan unconditional promise or order to pay a fixed amount of moneyですから。Noteには、いろいろ種類があります。
大きく分ければ、①Promissory Note, ②Secured Promissory Note、③ Promissory Note Due on a Specific Date、④Promissory Note Due on Demand、⑤Promissory Note with Balloon Payments、⑥Promissory Note with Installment Payments等ですね。担保付とか分割払いのNoteですね。

○ 米国の州法ではなく、米国企業が利用するNoteには、様々なものがありますね。例えば、Convertible Promissory Noteというのもありますね。実質は中国で事業を行っている会社の香港籍の親会社が、香港証券取引所に上場するときに、上場予定の1年ほど前にCaymanの会社に株式移転をして、このCaymanの会社を上場させるときがあります。Pre-IPOの資金調達で、上場予定の10か月ほど前に、米国の投資家が持っているCayman法人が、例えば$1000万ドルを、上場予定のCayman法人に資金注入します。これに対して上場予定のCaymanの会社が、投資家にConvertible Promissory Noteを発行します。このNoteの主な条件の例は、
1) 支払期日(Maturity Date)は、1年ほど先で、上場予定の2-3か月ほど後に設定
2) 元本について10.0 % p.a.の金利を支払う。
3) Conversionの条件を記載する。
If the closing of the IPO occurs prior to the Maturity Date, then upon the closing of the IPO, all of the outstanding principal amount of this Note (but not any interest accrued) shall be automatically converted into fully paid and non-assessable Investment Securities at a price per share equal to the Conversion Price. 約束手形がIPOのときに上場株券になりますね。金利の支払いも無です。
4) Conversion Priceの優遇: Conversion Price shall mean a per share price equal to 80% of the Per Share IPO Price. でもすぐには売れないですね。そこは多少投資家もリスクを取らないとね。通常半年ぐらいのLock-upが入ります。

○ Convertible Promissory Noteというのは株式にConvertするNoteですね。類似のものにExchangeable Bond(他社株転換社債)というのもありますね。上場予定の会社の株式などを保有するCayman法人が、上場前に投資家に、自分の会社の社債を販売するものです。上場したときに社債が、その会社の保有する株式に転換する訳ですね。

○ 上記のConvertible Promissory Noteは、CONVERTIBLE PROMISSORY NOTE PURCHASE AGREEMENTという投資契約に基づき発行(振出)されますね、またExchangeable Bondも同様に投資契約に基づきます。(昔、日本の証券会社が、Exchangeable Bondを素人の個人投資家に販売して、投資家が損をしましたが、こういった手法は、機関投資家向けですね。)

日本の証券市場は閉鎖的・保守的ですから、こういった手法を使う日本企業は殆どありませんね。海外の証券市場、例えば香港証券取引所等は、中国・香港・Cayman・Bermuda法人等の証券を上場できますから、いろんな手法を用いて投資家を集めることができます。その手法として、 Convertible Promissory NoteとかExchangeable Bondがあるわけですね。
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