まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

会社買収のLOIの内容

2016-09-02 22:44:32 | M&A
〇 売却対象会社の書面情報など一次資料を受領し、買収に値するとして買収交渉に進むときに、買収意思の表明としてLetter of Intent (LOI)を売却側に提示します。そのときのLOIについてです。
FAが取り仕切って入札方式で行う場合と相対で交渉して行う場合の2通りがありますが、一部を除き、買収側の記載内容は大体同じです。尚入札方式の場合はFAより、注意事項と記載して欲しい条項等を言ってくる場合があります。注意事項としては、案件の取り進め方式(コンタクト窓口の統一等・一次Bid=Price Indication提出期限等)、Rangeのprice indicationの場合は、一番安値を入札価格として審査するとか、(Fundの入札等を想定した)買収資金の確保・所用期間等の記載を求める事項等が記載されています。

〇 LOIの記載内容
まず冒頭に、買収の機会を得てありがとうなど挨拶文言などをいれて、このLOIはlegally Non-bindingである旨記載します。続いて以下などを記載します。

1) 買収主体の概要: Stock dealにしろAsset Dealにしろ、誰が買収するのかの概要を書きます。海外の場合は、現地子会社が買収するなど買収の主体(Acquiring Entity)を記載します。

2) 買収予定価格:Price Indicationですね。昔は、RangeでIndicationを出して、価格交渉に持ち込もうという買収者が多かったですが、最近はFAが入っている案件では、Rangeのofferはするな。したときは一番下値をIndication価格とすると明記したFAの入札指示書が一般的になりましたね。売主にとり一番重要な要素ですからね。

3) 資金調達: 買収資金はきちんと調達できますよという内容を記載します。Acquisition Financingですね。価格を提示しても、その資金を調達できないと意味ないですからね。
資金調達の確実性(銀行とのCredit Lineを確保しているとか)、Fundの場合は、受注確定後資金手当てまでの期間等を書きます。

4)買収態様:株式取得なら100%取得か、あるいは創業者保有株の一部は創業者に継続保有して、また継続経営をしてもらい、そのPerformanceに従い、残りの株式を分割取得する等の概要を記載します。Asset Dealの場合は、特に承継不要の資産等があれば記載します。欧米のAsset Dealは、日本の場合と異なりExcluded Asset and Liabilitiesを明確に記載します。会社を新設して事業承継する場合は、年金等(会社制度であるDefined Benefit Plan:
DB=確定給付制度や、会社が枠組みを作り個人が加入し会社がMatching Contributionを行うDefined Contribution Plan:DC=確定給付)の制度を作るに1年はかかりますので、その間は出向扱いでやるしかないですね。(こういった点はFAも日本の自称MA専門弁護士も知りませんので注意が必要ですね)。

5) 買収資金支払方法:Cash払いですね。

6) DD実施:一次資料で概略を掴み、どういった点を重点的に行うか、工場のSite-visitの事などを記載します

7)買収スケジュール:今後の予定等を記載します。

8) 買収の条件:どういった条件が整ったら買収を実行できるか記載します。普通はDefinitive Agreement (DA)の内容は、取締役会承認条件と書きます。

9) その他の条件:交渉ベースで進めることができる場合は、一定期間他社との交渉禁止などの条件を記載します。

大体、これぐらいでしょうか。これでうまく相手と交渉が進めば、買収のfirm offerですね。
入札の場合は、大体finalistとして3社ぐらいが残ります。Firm offerと言っても条件を付けます。Satisfactory Definitive Agreement 締結が条件ですね。
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