まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

英米契約法の$1Consideration

2015-05-10 21:57:18 | 商事法務
○ 英文契約書の本文の前文には、Cosideration(約因)がありますね。例えば、以下ですね。「NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual covenants, conditions and agreements set forth herein, and for other good and valuable consideration, the Parties agree as follows:」ところが、こんなへんなものもたまにはあります、“in consideration of one dollar and other valuable consideration….”。Consideration は、対価とか約因とか言われます。簡単に言えば、対価関係ですね。対価関係ですから、普通の常識では、お互いの価値は見合っていないとおかしいのですが、実は、法律的には価値の見合いが無くても、有効なのですね。今回は、そのことについて述べましょう。

○ 英米では、契約が有効に成立(enforceable)するには、Offer=申込とAcceptance=承諾が必要なことは日本と同じですが、これだけでは不十分です。即ち、①捺印証書(deed)という、一定の方式でなされるか、②約因のある合意でなければなりません。①はformal contractとよび、②はinformal contract or simple contractと言います。②の契約を、parol contract(口頭契約)と呼ぶこともあります。これには、変な言い方ですが、parol contract by word of mouth(口頭による口頭契約)とparol contract in writing(書面による口頭契約)があります。「書面による口頭」とは、なんやねん!?あほかいなですね。

○ 約因とは、Promisor(約束を与える者)が受ける権利・利益であり、Promisee(約束を受ける者)の受ける不作為、不利益、損失、責任の事です。物を買ってお金を払えば、契約が成立し同時に履行されますので、これをexecuted consideration(履行約因)です。昔は、この履行約因しか認められなかったのですが、これじゃ現代社会の取引は成り立ちません。従い、英米では双務契約で、売買の約束と代金支払いの約束があれば、相互に約因となりあうことになりました。これを未履行約因(executory consideration)と言いますね。

○ しかし、過去の約因は約因にならないとされています。また、既に存在する債務(以前からある借金等)も約因にはなりません。従い、債務の一部免除を約束して、残金を支払うと言っても、残金の一部は過去の約因となって、法律的効果は生じません。面白いですね。では、期限より1日早く支払うことを約因として半額免除を約束すれば、それがたった1日でも期限の利益を放棄したのだから、経済的価値はともかく、法律的には価値があるとされます。変ですけど、そう考えるらしいです。また、この理屈から1ドルを支払うので、100万円の絵画を渡すという契約も成り立つのですね。

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