まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

インドネシア会社法の監査役会

2014-07-09 22:41:26 | 商事法務

 

  • ドイツでは監査役会が強い権限を持っていますね。監査役会の権限を規定すれば取締役会の決定事項もキャンセルできます。昔、ダイムラーベンツが三菱自動車に出資することを承認した取締役会の決議を否決しましたね。この監査役会の制度はオランダの民法典や商法典を、参考にしたのではないかと思っておりますが、同じオランダ商法典を参考にして作成された会社法としてインドネシア会社法にも監査役会(Board of Commissioners)の制度があります。今回は、その監査役会の話です。インドネシア企業との合弁契約をいくつか見ましたが、この監査役会を、日本の実質権限を持たない飾りだけの監査役会と同視して、殆ど権限を持たせずに、株主総会で選任されるという形式をまねて監査役会を組成している契約がありますね。本来の趣旨は違うんですよね。

     

  • インドネシア会社法のBoard of Commissioners(=コミサリス(Komisaris)会)の規定は、108条から121条に規定されています。日本の監査役(監査役会)の機能は、勿論監査ですが、中身は取締役の業務執行が法令・定款に違反又は著しく不当かをチェックし指摘することですね。しかし、コミサリス会の職務は、会社の目的に沿った形で経営方針や経営の実行を監督(supervise)し、また取締役会へアドバイスする事だとしています。日本の監査役会よりもはるかに広範な権限を有します。職務遂行に当たっては、good faith & prudentな行動を求められ、監督業務執行に完全な責任(full of responsibility)を負いますし、過失責任も負います。また日本の監査役は、独立して判断(独任制)できますが、コミサリス会は単独では行動できません。コミサリス会決議に従った行動が求められますし、責任は連帯責任(jointly and severally)となります。員数は、1人以上で2人以上のときは監査役会を組成します。

     

  • では具体的にどういった権限を持つかは、定款で定めないと仏作って魂入れずなんですが、実はあんまり皆さん魂を入れていないようです。具体的には定款で定めれば良いのですが、定めていない例が多いようですね。1171項は、次のように定めています。「Articles of Association may determine the grant of authority to Boards of Commissioners to give approval or assistance to Boards of Directors in the performance of certain legal actions.」。理由としては、取締役会の上に、取締役会を監督・アドバイスする機関を作ると、機関に屋上屋を重ねるという感じだからでしょうか。また、取締役も監査役も株主総会で選任されますし、二重の手続きを踏むのは面倒だからでしょうね。

     

  • でも折角こういった制度もありますし、取締役会レベルではなく、高度の政治的な判断などはコミサリス会で決められるようにしてはどうかと思います。では、コミサリスには誰が適任なのでしょうか?合弁会社なら合弁会社の株主の会社の会長などでしょうね。合弁契約が5050%で、取締役の指名人数も同数のときなどは、Dead Lockになる議題などもありますね。そういったときはコミサリス会の判断を仰ぐというのは如何でしょうか?

コメント
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