まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

事業経営者と投資ファンドの発想の違い

2012-08-01 20:55:24 | 企業一般

 

 最近は少なくなっていますが、この数年前まで投資ファンドが上場企業の株式を大量に取得し、更にTOBをかけたりしていましたね。例えば、有名なケースでは、米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンが2007518日、ブルドックソースに対して株式公開買付け(TOB)を開始しました。これらのニュースを読むにつけ、事業経営者とファンドとの発想の違い、行動原理の違いというものを感じます。上場企業の経営者は、ファンドの行動原理を良く理解して、取引先などの安定株主作りをしないといけないと思います。現に長期保有の個人投資家作りなどを行っている会社もありますね。<o:p></o:p>

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○ 企業は、顧客に製品・サービスを提供して事業を拡大します。一つの事業を大きく育てるのに、一部のIT企業を除けば5年はかかります。特にメーカなどは、要素技術の開発期間等を考えれば、まともな事業に育つまで10年はかかります。経営者は、長期的視点が必要ですし、継続的な設備投資を考えれば十分な留保が必要です。<o:p></o:p>

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 投資ファンドは、長期的視点に立った投資をすると口先で言っているファンドでも、34年とかの長さで考えるのが通常ですね。スティール・パートナーズの代表が、自分たちの投資は「長期的視野に立って企業価値を高めようとしている」等と言ってますが、彼らは当然投資先企業の企業価値ではなく、自分のポートフォリオの価値を優先し、最大化しようとしますね。<o:p></o:p>

 

 

 経営者に取ってみれば、ファンドから「配当を増やせ」「資産を効率的に利用しろ」等とプレッシャーをかけられても、「何言うてんね」ですね。「要求だけして誰が価値をあげてんのか」ですね。また証券アナリスト等もいろいろ言いますが、そんな雑音に惑わされては企業を経営できません。キチンとした経営者なら、外部の人にとやかく言われなくても、自分の会社の事は百も承知です。自分の会社の事を日夜考えているのです。<o:p></o:p>

 

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 ファンドが出来ることは限られています。企業経営など出来ません。そんな能力はありません。出来ることは、①財務リストラの手伝い(資金提供・資本/借入のDERの調整)②同業他社・相乗効果のある企業も買収して統合を計る、又は他の提携先を紹介する③経営者を見つけてきてすげ替える(但し、簡単にはそんな経営者は簡単には見つからない)の3つです。事業を育てる事など出来ません。<o:p></o:p>

 

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 経営者のメインの仕事は、事業を拡大し、新規事業を育て企業を経営することです。ファンドは、あくまでも利回り・IRR(内部収益率)の世界です。長期的視点で投資をしている等と言っても、しっかり儲けるチャンスがあれば、さっさと逃げてしまいます。即ち、狩猟民族ですから獲物を食い尽くせば逃げますが、事業経営者は、経営者を交替することがあっても、農耕民族ですから田圃を捨てて逃げるわけには行きません。<o:p></o:p>

 

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 会社を上場させるということは、農耕民族の世界に狩猟民族の世界を持ち込むことです。長期的視点の事業拡大・育成と、短期的に株価を上げてキャピタルゲイン等をファンドに与える、相矛盾する行動の世界に入ることですね。今では持ち合いの世界がかなり薄れました。昔は、銀行が資金提供した、麻布自動車(渡邊喜太郎氏)・ブーピッケンズとか、光進の小谷氏、秀和の流通株買い占めなどは「私利私欲の投資」でしたが、最近はファンドです。即ち背後に、がめついリターンを要求する投資家ですが、元はと言えば、年金基金等でみんなのお金です(ただ、今までのところは米国等の年金基金等が多いですが)。個人でもこつこつ地道に仕事をする自分と出来れば一杯お金を得たい自分がいます。少し小金ができると株式投資をしたりします。会社も上場企業になると、企業経営者という立場と、証券市場に株券を上場しているという立場も出てきます。矛盾する立場を持つというのは、個人も企業も一緒でしょうか?<o:p></o:p>

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コメント
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