まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

企業価値と買収価格

2012-04-13 22:16:47 | M&A

 

 M&Aを行なう人、その関係者などは、企業価値と買収価格の区別をしない人が多いので、今回はその話です。やはり企業価値と買収価格は区別して考えるべきでしょう。

 

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 企業価値の算出方法には、前提が現実を反映していない数字遊びのDCF法、純資産、純資産+のれん、EBITDAmultiple、類似業種比準方式、類似会社比準方式、企業比較法、配当還元、実際の株価、PERPBRとかいろいろあります。しかし私は、その企業が生み出す付加価値額と考えています。この付加価値額からあえて買収価格を算出する場合は、付加価値額のmultiple(前後数年)が良いと思っていますが、こういったことを言っている人はあまりいないようです。まあ、いろんな方法がありますので、特定の方法で算出して、この方法ならこのRange等といくつか並べて、Fairness opinionなどという偽りの言葉を使って、お金を貰う顧客へレポートを出すFA(=Financial Advisor)が多いですね。何がFairnessなんでしょうね。そのレポートの作成の背景・意図・作成者の目論見などを考えればFairnessとは言えませんね。<o:p></o:p>

 

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 ところで、企業価値と買収価格の違いをわかりやすい例を示しましょう。例えば上場企業では株価があります。これも一つの企業価値です。しかし、TOBをするときは、この価値では買えません。20%-50%-場合によってはさらにプレミアムがつきます。このTOB価格が買収価格です。株価を企業価値とすれば、企業企業価値が突然20-50%上昇するのはおかしいですね。まあ、これは価値を客観的なものと捉えるか、例えば特定の買収者の相乗効果を勘案した買収価格と捉えるかの違いからも言えることかもしれません。<o:p></o:p>

 

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 いくつかの評価機関が作製した企業価値報告書の概要を合併承認総会等の参考書類に記載するときがあります。あたかも買収価格が適正であること装うわけですね。オリンパスのでたらめ買収のときも、それに加担して報告書を作成した弁護士や公認会計士などがいたようです。最初に結論ありきで作製したのでしょう。これは極端な例ですが、多かれ少なかれ第三者の報告書はそういったものです。買収価格を正当化するために「企業価値算出の報告書」は利用されるのですね。ここに混同があります。

 

 買収価格というのは、どうしてその価格になったのか、背景・裏事情が表にでませんし、また、従業員への配慮、政治的考慮もありますので、やはり企業価値とは直接関係ないと考えて欲しいですね。

 

コメント
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