まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

基準日と総会招集手続きの省略と議決権

2010-12-05 23:35:40 | 商事法務

  会社法300条には、株主総会招集手続きの省略の規定があります。(A)株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。」と規定されています(この条文は全員の出席とは規定されていない)。また、(B)株主全員が総会の開催に同意して出席(勿論代理人可ですね)すれば、これも有効と最高裁判例で認められていますね。普通は定款で定時総会の規定はありますから、もっぱら臨時総会開催の場合の規定ですね。

招集手続きには、①取締役会設置会社の場合は取締役会による招集決定、②招集通知の発出、それと③実際に決議・報告がなされる事という、三つのステップが必要ですが、300条では、②の手続きの省略を認めています。また最高裁判例は、①と②の省略を認めていますね。

  一方、124条には基準日の規定がありますね。総会で議決権を行使できる株主を確定し招集通知を発したり、あるいは剰余金配当を受ける株主を確定するための制度ですね。1243項では、「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定(=株主が行使することができる権利により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。」この規定は、基準日を定めなければ別に公告しなくても良いと読めますね。

  では、基準日公告がなされない場合、臨時総会で議決権を行使できる株主は誰かという規定は会社法にはありませんね。では、どう考えれば良いのでしょうか。

上記の(B) の場合は、総会の開催に同意して出席ですから、同意して出席した株主が議決権を行使することになりますね。(A)の場合は、やはり同意した株主でしょうね。臨時総会を来週月曜日に開くからと同意したが、直前の金曜日に株式を譲渡して、直ちに新株主が名簿に記載されても、やはり同意の時の株主が議決権を持つと思いますね。ただ、1244項では「株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。」という(批判の多い)変な規定が出来ましたので、この基準日を同意の時と考え、新株主を権利行使することができる者と定めることができるということになるのだと思います

  基準日公告の規定は、会社法の中でも最も遵守されていない規定の一つですね。全株式譲渡制限会社なら株主の変動も少ないし、今誰が株主かは株主名簿を見ればわかりますね。当該基準日の二週間前までに公告」を行い、この公告を見た、株主名簿に記載されていない株主が議決権行使の為すぐに株主名簿に記載してもらうという事のようですが、公告など見ますか、官報など見ていないし、新聞に公告が載っていてもわかりませんね。少なくとも全株式譲渡制限会社では、公告に代えて通知(電磁的方法によるものを含む=電子メールで十分ですね。受領確認もチェックできますからね)で十分です。というか、通知とすべきだったでしょうね。通知を受けた株主が既に株式を譲渡していたら、譲渡承認申請を取締役会等に申請し承認後譲渡人・譲受人共同で名義書換請求すれば良いですね。この場合でも二週間前までに通知ですので、タイミングが合わなければ駄目ですね。譲渡承認は取締役会承認という会社の場合、通常取締役会は月に一回開催ですから間に合わないケースも多いでしょうね。公開会社であっても、株主はいちいち公告等見ませんね。公告などより通知の方がはるかに実際上は大事だと思いますがね。株主名簿に記載の株主に通知すればそれで十分だと思います。

参考ブログ:基準日の規定は欠陥規定

http://masaru320.mo-blog.jp/business/2009/02/post_ab23.html

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