まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

代表取締役・取締役・使用人の権限

2010-03-14 19:24:43 | 商事法務

○ 今回は、代表取締役・取締役・使用人の権限について考えて見ましょう。取締役会設置会社の前提です。久しぶりに会社法「けち」シリーズの一つです。

1) 代表取締役の権限:法349項では「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」また5項では「前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定しています。

2)  使用人の権限:使用人の権限については(支配人の代理権については、法11条に「その事業について一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有している」としていますが、一般的ではないので省略)、法14条に規定しています。1項では「事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。2項では、前項に規定する使用人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定していますね。例えば購買部長は、購買についての権限がありますね。実際は、社内の権限規定で、一定額以上は、取締役とか、副社長とかと決められていますね。

3)  取締役の権限:取締役会設置会社の取締役の権限については、363条1項に規定されていますね。即ち、1項 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。

   代表取締役

   代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの(以下「業務執行取締役」といいます)

 

  取締役は、取締役会の構成員であり、取締役会はその決議により業務執行に関する会社の意思決定機関であり、その決定を執行する執行機関を選定(=業務執行取締役。委員会設置会社の執行役の場合は「選任」)し、かつその職務執行を監督する権能を有していますね。

○ 3622項②で、「取締役会は、取締役の職務の執行の監督を行う」とされています。つまり、取締役は職務を執行するのです。にも拘らずその権限について会社法には規定がありません。不思議ですね。使用人について権限を有するという規定があるのにね。

  学者は、業務執行取締役については、対内的な業務執行だけを行うと言っています。不思議な見解です。普通の会社は、社外取締役を除き業務を執行しますね。職掌を決めます。人事担当取締役とか、購買担当取締役等ですね。例えば人事担当取締役は、採用通知を出したり、社員募集パンフレット・DVDを作成したり、人事厚生事務-給与計算・交通費・出張費精算事務等を子会社・アウトソース先と契約を締結します。社内向けの業務執行と社外向けの業務執行は、コインの裏表なのです。社内向けと社外向けの業務執行を区別する発想自体、会社の実態を全く理解していない見解です。

○ 従い、取締役についても、「事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた業務執行取締役は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。」という規定を設けるべきですね。副社長・専務・常務等は、表見代表取締役の規定で現実はカバーされるかもしれませんが、代表する権限は無い訳ですね。表見ですからね。なんでこんな整合性の無い規定の仕方をしたり、また業務を対内的・対外的とか、分離できないものを分離して、変な解釈をしているのが、ちょっとおかしいのではないでしょうか。

コメント
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