まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

資本金0円の不思議

2009-11-03 22:32:49 | 商事法務

     H13年の商法改正で額面株式が廃止され、株式数と資本の額との関係が切断されましたね。つまり資本減少のために株式数を減少させる必要はなくなりました。同時に大きなポイントとして、減資差益が生じる場合(=その他資本剰余金)には、それを分配可能額としましたね。

     会社法445条では、資本金の額は、「設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額」としており、その1/2を超えない額は資本準備金とすることができるとしています。即ち、資本金と資本準備金は、払込又は給付した財産の額、通常はお金ですから、元手として拠出された・調達された時点の金額を意味するわけですね。しかし(金銭出資を前提に)資産としては借方の現金・預金になるわけですね。

○ 会社法では会社成立後に減少することができる資本金・準備金の額については制限を設けていません。従い、必要な手続をとれば、資本金・資本準備金の額をいずれも零とすることができます。資本金で言えば法447条ですね。同条では、総会決議で資本金の額を減少することができるとしています。

1項 ① 減少する資本金の額

     ② 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額

     ③ 資本金の額の減少がその効力を生ずる日

2項 前項①の額は、同項③の日における資本金の額を超えてはならない。

 

○ 4472項で、資本金の全部を準備金とすれば、準備金はあっても資本金0円の会社ができるわけですね。この規定は不思議な規定ですね。「資本金額を超えて資本金の減少をする人が世の中に居て始めて、そんなことは出来ませんよ」というのなら分かるんですが。そういう人はいるのでしょうか? 資本金というのは現存額ではなく、そういう資本が過去に拠出されたという記録の金額表示ですね。ですから、資本金の減少というのは、(分配可能剰余金捻出等という目的がある場合もありますが)言ってみれば過去の資本金拠出の記録の一部抹消ですが、確かに理屈上数字遊びという視点から言えば全部抹消まで出来ますけどね。資本金という金額表示はプラスしかないというのが私の理解だったのですが、立案担当者の人は進んだ?というか算数の好きな人が多かったのでしょうか?引き算してもマイナスは出来ませんよと‘ご丁寧な規定’も入れてくれています。

○ 448条には準備金(資本準備金・利益準備金)の額の減少の規定がありますね。上と違うのは、準備金を資本金とすることができるとしています。BSで言えば、下に持っていくことも上に持っていくこともできると言うことですね。準備金を減らして資本金の増額をするなら分かりますね。そのために準備金の全額を資本金にして、準備金を0円にすることも可能ですね。

○ 株式の数との関係が遮断されましたから、例えば、発行済株式数1万株 資本金0円ということが生じるわけですね。確かに、純資産の額としては、経営不振で利益剰余金がマイナスとなり、0円以下即ち債務超過とかもありますが、元手であり拠出額である資本金を0円まで資本金減少した会社は見たことありませんね。私は資本金0円に違和感を感じますね。でも誰か挑戦して、資本金0円でBS公告出せば、(倒産の場合等を除き)珍しい会社になれますね。

コメント
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