まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

開業準備行為・設立費用の規定は不備

2009-01-20 00:08:57 | 商事法務

     開業準備行為・設立費用と効果帰属(法28条)については、以下のブログを参照して下さい。今回は、実際上会社を作るときの業務を想定して、法28条の問題を考えて見たいと思います。

   

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20080602

     28条は、開業準備行為・設立に関する費用等に関して規定しています。一号=現物出資、二号=財産引受(会社成立後に譲り受ける財産・価額・譲渡人の氏名等を記載・記録)、三号=発起人の報酬等、四号=会社の負担する設立に関する費用について、定款に記載・記録しないと効力を生じないとしています。但し、四号では例外を設けており、定款に記載・記録しなくても、定款認証手数料と施行令5条記載の費用(定款の印紙税・銀行手数料・検査役報酬・登録免許税)は、新会社の費用とすることができるとしています。即ちこれら費用は、発起人が負担しても新会社が成立したときに新会社に請求できますね。発起人側では立替金として処理しますね。法人税基本通達(2-6-2=法人の設立期間中の損益の帰属)でも、これらの費用は新会社の損金として処理することを認めています。また、事後設立の規定(4671項五号)=成立後2年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得で純資産の1/5超の金額の場合は総会特別決議が必要との規定も参照してください。

では、以下のようなものは、どの様に考えればよいのでしょうか?

新会社で事業が速やかに立ち上がるように、発起人がサーバーを購入しソフトウェアを開発している場合。

発起人が、新会社のオフィスを探索し貸主との間で、会社が出来たらその会社のオフィスとして使用する旨を貸主に明示して、貸室賃貸借契約を契約上の地位を会社が出来たら移転する旨を相手に合意して、自ら締結した場合。(場所が決まらなければ新会社の設立登記も出来ないですよね。最近は借主の方が強いので、新会社が出来るまで暫くは待ってくれますけどね)同じ事は、オフィスの什器備品にも当てはまりますが、これは大抵業者が待ってくれます。

新会社の代表印・取引印等の印鑑調整費用等。設立登記に必要な、払込証明書・資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書・委任状には、登記所に届け出るべき印鑑を押捺しますね。施行令5条には記載がないですね。なんでやねん?法務省の人は自分で会社作ったこと無いですからね!その他細かいこと言えば、個人の印鑑証明入手の際の手数料、設立登記申請の用紙代、コピー代、登記所に行く交通費とかいろいろあります。

設立登記申請を司法書士に依頼したとき、司法書士の業務は会社成立の日前に大半が完了します。司法書士に手数料を支払わなければなりません。

     会社を作るときは、ビジネスモデルを構想して、顧客・取引先候補にあたり、具体的に立ち上げ方法を検討し、人員・設備を含む事業計画を策定します。事業計画は、社内の意思決定機関で承認されて具体的に動き始めます。順序としては、会社設立伺いの承認、会社名決定、役員人事決定、本店所在地決定、定款作成、登記申請書類の作成、登記、登記完了、銀行口座開設、税務署等への届出等と進んでいきます。登記申請では、当然本店所在地が確定していないとできません。人気のオフィスなどは、すぐに賃貸借契約を締結して、保証金を差し入れ押さえておかないといけません。これと平行して、取引先との契約、社内規則作成、社会・労働保険のアレンジ、従業員の雇用、就業規則作成届出等を同時に行います。

     発起人が行い、新会社に効果が帰属する開業準備行為は、法28によれば財産引受のみですが、効果帰属させるには、a)定款に記載・記録、b)発起人が新会社の為に行う契約である事(顕名主義)、c)発起人に新会社に効果帰属させる権限があること、d)契約が有効であることの4つですね。 でも、財産引受は、原則が検査役の調査が必要ですね(かなり簡便化されましたけどね)。こんな邪魔くさいこと出来ませんね。実際は、(H2年の商法改悪で導入された検査役の調査もなくなりましたので)事後設立で行えば良いですね。

     開業準備行為と言っても、何時から始まるのか、発起人側の業務もあるし切り分けも難しい場合も多い、顕名主義と言っても、新会社の為にとは言えるも、会社名も所在地も未定の段階もありますね。設立期間中の開始時点も実際は難しいですね。あえて言えば雛形の定款を手に入れて、会社名(事前に決めている場合もあるが)、目的等を検討し始めた時点でしょうか?

     では、上記①―④までをどの様に考えれば良いのでしょうか?①については、新会社は事後設立で発起人から取得、②については、契約上の地位の移転・承継等、③④については、施行令5条は限定列挙で規定していますが、まあ、数万-十数万円の印鑑調整費・司法書士手数料等を設立費用としても(頭がりがりのおっさん以外は)誰も文句は言わないでしょう。発起人が立替費用としておいて新会社から回収すれば良いですね。新会社側で費用計上(税務上も損金処理)ですね。しかし、会社法をかなり厳密に遵守するなら、まあ発起人に負担させて、「ありがと」と言って負担してもらう事ですね。

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