まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

疑似外国会社の規定について

2008-04-23 21:04:48 | 商事法務

○ 疑似外国会社に関する規定があります。会社法821条には以下の様に定められています。

1項 日本に(事実上の)本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。

2項 前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

       例えば、資本金が5億円以上になると大会社ですから、会計監査人の設置が義務になり、また監査役(会等)を置かないといけませんし、更に内部統制も行わないといけません。しかし、事業の本拠はあくまでも日本でありながら、これらのややこしい規制を逃れるために、会社法の規制の緩い国で設立して、その事業を日本で行えば日本の会社法を逃れることができるわけですね。会社の設立・運営は、一般に設立準拠法主義ですからね。即ち、法人格の付与、組織運営の法律関係は、当該会社がその国の法律に準拠して設立された国の法律が準拠法になるとか解されていますからね。

       外国会社の規制については、会社法の国会審議のときに問題になりましたね。衆議院で可決されてから問題になったので、今更参議院で修正するわけにもいかず、付帯決議という、あまり意味のない政治決着で参議院でも可決されました。

       疑似外国会社を考える場合に、参考となる会社があります。

日本ケイデンス・デザイン・システムズ社 Cadence Design Systems, Japan
(商号:ケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ)という会社です。↓

http://www.cadence.co.jp/company/index.html

       究極の親会社は、米国カリフォルニア州San Joseにある、Cadence Design Systems, Inc.というNASDAC上場の会社です。商号の最後にB.V.とありますから、オランダ当たりの会社かもしれませんが、どこかわかりません。同社は、世界的な半導体設計支援用のCAD(Computer Aided Design)/EDA(Electric Design Automation) ツール(ツールと言ってもSoftwareですね)の会社です。80年代には、日本の半導体メーカのノウハウ等もどんどん吸収し、また主として米国内でも同業他社を買収し成長した会社で、この会社のツールが無いと今や半導体は製造出来なくなりました。当社のEDA業界(世界のマーケットサイズは年間40億ドルぐらいの規模です)でのマーケットシェアは、3割ぐらいでしょうか。最大の有力企業です。全世界の従業員は約5,200名。日本でも従業員が230名もおられます。

Cadence Design Systems (Japan) B.V.ですから、明らかに日本でオペレーションする為に作られた会社ですよね。会社法だけでは無く、リスク遮断・節税目的等複数の理由があると思いますが。この会社に、821条1項をどう考えているのか聞いてみたいですね。

○ ついでに、疑似外国会社ではありませんが、昔から有限会社が上場企業の過半数の株式を保有している会社もあります。東燃ゼネラル石油株式会社で、持株有限会社は、エクソンモービル有限会社ですね。有価証券報告書の事務連絡先もこの有限会社です。上場企業は、経営の独立性が要求されるのに、有限会社に支配されているのですね。

最新 これが半導体の全貌だ!―産業、しくみ、マーケティングのすべて 激動する業界動向を現役専門記者が書きおろした最新版最新 これが半導体の全貌だ!―産業、しくみ、マーケティングのすべて 激動する業界動向を現役専門記者が書きおろした最新版
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-09
Img_0840

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする