天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

映画『最後の忠臣蔵』原作池宮彰一郎著の男っぽい骨太プロットに島原元遊女夕霧を加筆した脚本が素晴らしい

2010-12-23 20:50:04 | 日記
今日の日記続編は、12月19日ユナイテッド・シネマ札幌で鑑賞した日本映画『最後の忠臣蔵』(原作:池宮彰一郎 脚本:田中陽造 監督:杉田成道 役所広司 佐藤浩市 桜庭ななみ主演)のことです。添付した写真は、劇場宣伝用パンフレット裏面です。
このシネコンでは、他にも私が観たい映画『ロビン・フッド』がありました。でも、この映画『ロビン・フッド』は、とても幸運なことに、年末シチリア旅行で利用するアリタリア航空の機内上映映画リストの中にありました。だから、『ロビン・フッド』は南イタリア旅行中に機内鑑賞することにして、私は大好きな時代劇である『最後の忠臣蔵』をこの札幌の劇場鑑賞しました。
この映画の原作は、池宮彰一郎著『四十七人目の浪士』(新潮社1994年刊)に収録されている連作短編小説第四話「最後の忠臣蔵」(週刊新潮1993年5月27日号~7月15日号初掲載)です。この小説を私は既に読んで知っていました。だから、この映画を観る前に、池宮彰一郎氏のとても男っぽい世界を描いた小説を、テレビドラマ名作「北の国から」の杉田成道監督が如何に料理して映画化したか?私は興味津々でした。
しかし、その単なる興味津々だった私の思いは、映画が始まって直ぐに驚嘆・感動の思いに変わっていきました。池宮彰一郎の男っぽい骨太のプロットに、原作に登場しない新たな島原の元遊女・夕霧(豪商・茶屋四郎次郎に身請けされ「ゆう」となる:安田成美が好演)を加えた脚本家・田中陽造の大いなる決断が、とても深みのある時代劇に変貌させていたからです。
また、当時大流行した人形浄瑠璃の小屋観劇を、大石内蔵助(片岡仁左衛門)の隠し子・可音(桜庭ななみ)を京都の豪商・茶屋四郎次郎の跡取り息子(山本耕史)が見初めた出会いの場に、原作を巧みに創り変えた脚本もとても効果的でした。
最後に、大石から『そちの命をわしにくれ!』と哀願された瀬尾孫左衛門(役所広司)が、その役目を無事に果たしながら、夕霧(安田成美)の彼への求愛を拒んだ『ゆう様、私は武士でございます!』との言葉が、深く私の心に残りました。
映画が終了するまで、私は涙を流しっぱなしでした。今年公開されたの日本映画の中で、私がベストワンだと思う時代劇の傑作を、是非皆さんも劇場で御覧になって下さい。
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映画『ニュー・シネマ・パラダイス』映画には生きる指針を観客に教える素晴らしい力があり映画館はその手助

2010-12-23 14:38:52 | 日記
今日の日記は、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989年製作 ジュゼッペ・トルナトーレ監督 フィリップ・ノワレ ジャック・ペラン サルヴァトーレ・カシオ主演)に登場した映画館「パラダイス座」ことです。添付した写真は、一度火災で焼けたあと、新装され入場者たちが集まった、その映画館「パラダイス座」の正面玄関です。
この映画は、映写技師(フィリップ・ノワレ)と映画に取りつかれた男<少年期(サルヴァトーレ・カシオ)青年期(マルコ・レオナルディ)中年期(ジャック・ペラン)>の交流を描いた映画ファン必見の名作です。
映画館で放映された映画そのものが、映写技師と映画に取りつかれた男の二人にとって、人生そのものだったのでしょう。映画には生きる指針を観た者に教える素晴らしく強い力があります。幼い頃観て感動した映画は、いつまでもその人の心に深く残っているものです。そして、映画館は、その手助けをしてくれるお互いの心が強く深く触れ合う場所です。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督(1956年5月27日シチリア島のバゲリーア生まれ)にも、幼い頃そのような映画館が、実際にあったのでしょう。だから、この映画で劇場放映されている古い名画は、過去の監督の鑑賞体験から選ばれたと私は思っています。
その選ばれた映画の中で、私が驚いたことに、私より3歳も若いトルナトーレ監督は、1941年製作のスペンサー・トレイシーが主演した米映画『ジキル博士とハイド氏』を含めていました。彼は故郷の映画館で、戦前に製作されたこのアメリカ映画を観て、感動したから自身のこの映画にも、スペンサー・トレイシーを登場させたのでしょう。
映画に取りつかれた男は、師匠であった映写技師の仕事を引き継いだ後、生まれ故郷を去って映画の都・ローマに出てしまいます。そしてやはり、男は自分の職業に映画監督を選択して、師匠の映画技師の葬儀の為、故郷に30年ぶりに帰ってきました。
この男はとても幸せな人生の選択が出来て、とても羨ましい人間です。この男こそは、映画を創ったジュゼッペ・トルナトーレ監督自身そのものだと私は思っています。
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