ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

7月下旬は毎夜、白い綿あめのようなカラスウリの花が咲きます

2011年07月25日 | 季節の移ろい
 7月下旬に入り、近所で毎朝、しぼんだカラスウリの花が目につく季節になりました。アサガオがしぼんだような筒状の花の名残りが毎朝数個、カラスウリのツルにひっかかっています。カラスウリの花が毎夜、咲いている証拠です。

 カラスウリの花は、綿あめを引き延ばしたような白い糸状の不思議な花が咲きます。綿あめを引き延ばしたような、直径5~8センチメートルほどの5弁の花です。



 こうした不思議な形の花になった理由は、夜にスズメガなどが蜜を吸いに来た時に、受け入れやすい形状だからと想定されています。スズメガは花の中心部で蜜を吸おうとすると、花粉を受粉させやすい形状になっていると推定されています。

 この花は夕方から開花し始め、綿あめが引き延ばされた繊細な感じの花になります。そして、明け方にはしぼみます。



 受粉した花は、10月から11月ごろになると、朱色のピンポン玉ぐらいの大きさの実をつけます。カラスが食べそうな雰囲気なので「カラスウリ」と呼ばれるようになったと考えられています。夜中に咲くために、カラスウリの花は知る人ぞ知る存在になっているようです。

三菱電機が進めているスマートグリッド実証実験の概要を伺いました

2011年07月24日 | イノベーション
 研究・技術計画学会が7月23日午後に主催したシンポジウム「日本産業再考のための戦略的な技術経営」の特別講演の第4弾は「近未来におけるスマートグリッドのインパクト」です(昨日の続きです)。

 この講演は、三菱電機系統変電システム製作所(神戸市)の電力流通プロジェクトグループの塚本幸辰サブグループリーダーが担当しました。日本の大手電機メーカーが次世代のエネルギー社会システムの実証事業として、「マイクログリッド」「スマートグリッド」などの次世代の電力流通システムを、どのように製品化・事業化しようとしているかについての概要を分かりやすく説明しました。想定される製品化・事業化の概要は説明されましたが、三菱電機がどの部分で強みを発揮し、事業収益を上げる戦略なのかは、当然、お話されませんでした。



  この講演の冒頭で、この製品化・事業化の概要や実証実験などは、東日本大震災が起こる前に計画されたもので、今後、原子力発電の役割の見直しなどを含めた日本のエネルギー社会システムの方向付けによっては中身が変わるものと説明されました。三菱電機は「2020年以降に登場すると想定される送配電網に対して、約70億円の研究開発費をかけてスマートグリッド実証実験を実施している最中だ」と話されました。

  三菱電機は同社の兵庫県尼崎市の尼崎地区を中心に和歌山地区も含めて、スマートグリッドシステムの実証実験を進めているそうです。自社内での基幹系送電システムや配電システムを通して、全体最適化などの実証実験を進めています。「各電力会社の系統安定化制御および最適電源運用、次世代配電運用システムのスマートグリッド、計量自動化のスマートメーター、デマンドサイドマネジメントのスマートハウスなどの全体最適運用を検証する」と説明します。

  例えば、スマートハウスは大船地区で「大船スマートハウス」という自立循環型住宅のガイドラインに沿った高気密断熱住宅(東京大学大学院工学系研究科の坂本雄三教授が監修)を建て、自然エネルギー活用と高効率省エネルギー機器による節電を実証実験しているそうです。この住宅の中には、日産自動車の電気自動車「リーフ」と三菱自動車の「i-MiEV」の2台が収められています。



 日本の電機メーカーとして、太陽光発電モジュールを製品として事業化している三菱電機ですが、これからのスマートグリッド系の事業、すなわち何で収益を上げるかは、まったく説明されませんでした。もちろん、最大の企業秘密だからです。

 今回の講演を拝聴し、研究開発を総花的に進めており、事業戦略ができているのかどうかよく分からないとの印象を受けました。例えば、太陽光発電モジュール製品は市場としてはドイツとスペインなどに先行され、製品・事業化では中国や韓国に先行され始めています。まるで、半導体のDRAMや液晶パネルなどの事業モデルの推移に近い様相を呈しています。日本企業の事業化の成算がどこにあるのかは、なかなかの難問です。

研究・技術計画学会主催「日本産業再興のための戦略的な技術経営」を拝聴しました

2011年07月23日 | イノベーション
 研究・技術計画学会が開催したシンポジウム「日本産業再興のための戦略的な技術経営」を拝聴しました。7月23日午後に東京都港区の政策研究大学院大学で開催されました。

 特別講演として東北イノベーションキャピタル(仙台市)の熊谷巧代表取締役社長が「東日本大震災からの復興と新産業創造」を講演しました。同社は仮称「東北リバイバルファンド」という投資ファンドを用意しているとのことでした。

 特別講演は合計4件です。その中で、東京工業大学大学院経営工学専攻の圓川隆夫教授が講演した「日本産業復興のための戦略的な技術経営」で展開されたサプライチェーン・マネジメント(SCM)強化のお話が印象に残りました。3月11日の東日本大震災によって、日本の製造業は必要な材料や部品をしっかり入手するサプライチェーン・マネジメントの混乱が話題になったが、「実は元々、日本の企業はサプライチェーン・マネジメントに弱みを持っており、その克服ができていなかった」と指摘されました。



 サプライチェーン・マネジメントは「キャッシュフロー最大化のためのリスクマネジメントであるのに、日本企業の多くがその構築に成功していないために、事業収益を上げられない状況に陥っていた」と解説されます。日本企業のサプライチェーン・マネジメント構築の不十分さが弱点になっていたそうです。

 日本企業はこれまではたゆまぬカイゼン活動などによって、「故障ゼロ、不良ゼロを達成してきた」と指摘されます。 日本のモノづくりは「故障ゼロ、不良ゼロという変動を認めないという理想的な態勢を目指してきた そうです。これが事実上は品質過剰になっていると解説されます。これに対して、欧米などの企業は「変動を認めた上で、バッファリングを図る態勢を取り、成功している」と説明されます。

 その態勢づくりには、Factory Physics(生産科学) に基づく理論を採用し、科学的なアプローチを採用したそうです。これによって、バーチャルリソースの活用という解決策を導入したと指摘されます。この中身はかなり難しいので省略します。



 日本企業の多くは東日本大震災以降は「大震災のような大危機に備えて、材料や部品、製品などの在庫を過剰に持つという短絡的な解決法を検討しているが、これは経営を悪化させる単純な対処法」と指摘します。

 「日本企業の多くはサプライチェーン・マネジメント全体の見える化ができていなかった」と指摘され、「大震災の被災にかかわらず、この日本企業の弱点克服が重要」と説明します。日本企業の多くは現場の対応能力が高いために、現場部門だよりのIT(情報技術)を活用したサプライチェーン・マネジメントは構築できたが、物流の効率化に留まっていて、経営の高度化にはなっていなかったと分析されます。

 情報技術活用力はあっても、企業全体のサプライチェーン・マネジメント組織力は高くないという日本企業独特の問題が表面化しているそうです。実際には、情報技術活用の投資は、経営成果に結びつくサプライチェーン・マネジメント組織力ができてはじめて有効になると説明されます。つまり、日本企業は製品だけではなく経済文化も“ガラパゴス化”し、過剰品質と高コスト体制に陥っていると指摘されます。このサプライチェーン・マネジメント組織力の有無は、「サプライチェーン・マネジメントの最適化を実行できる責任権限を持つ組織をつくれるかどうかにある」と解説されます。

 東日本大震災をきっかけにしたサプライチェーン・マネジメントの再構築が、日本企業の弱点克服の契機になれば、不幸中の幸いになるようです。アジア市場などを見据えたグローバルなサプライチェーン・マネジメントは科学的なサプライチェーン・マネジメント理論を学ぶことが重要になるそうです。

東京大学の総合研究博物館は「鰻博覧会」を開催しています

2011年07月22日 | イノベーション
 7月21日は、夏の土用の丑の日(どようのうしのひ)だったので、「鰻の蒲焼きがよく売れた」と、テレビニュースや新聞記事が報じました。最近はウナギの稚魚の不漁によって、ウナギの販売価格そのものは上昇しているにもかかわらず、鰻屋では鰻重などを求める客が殺到したり、デパートやスーパーでのウナギの蒲焼きがよく売れたりと、ウナギの売れ行きは好調だったようです。ウナギを食べて精力を付けて、猛暑を乗り切ろうという思惑のようです。

 現在、東京大学の文京区本郷キャンパス内にある総合研究博物館は特別展示「鰻博覧会 この不可思議なるもの」を開催しています。入場料は無料です。7月16日(土)から10月16日(日)まで一般公開されています。



 今回の特別展示の目玉は、ニホンウナギの卵です。東京大学大気海洋研究所は、7月10日に「天然のニホンウナギの卵を百数10個採集することに成功した」と発表しました。2011年6月28日から29日にかけて、独立行政法人海洋研究開発機構の学術研究船「白鳳丸」がウナギ産卵場調査航海を行い、天然のニホンウナギ卵を147個を採集することに成功したそうです。採集場所は、2009年度の調査航海の成果から想定されていた太平洋の西マリアナ海嶺(かいれい)と交差する塩分フロントの南側海域(スルガ海山周辺、北緯14度、東経143度)だそうです。

 今回、採集された卵の発達段階などから、「ウナギは新月(月の満ち欠けの始まりの月)の2~4日前の毎晩に、複数の異なる産卵集団を形成して産卵すると考えられる」とのことです。 もし将来、ニホンウナギの産卵場をピンポイントで予測し、卵や仔魚を確実に採集することが可能になれば、現在のウナギ稚魚の不漁を解決する有力な手段が見つかる可能性が高いそうです。

 今回の卵採取の成果として、7粒の卵のホルマリン固定標本を作成ししたそうです。この標本が「鰻博覧会」に展示されています。



 日本の川や池に住むウナギは変な魚です。日本から数1000キロメートルも離れた海の底に産卵しに行き、生まれたウナギの稚魚は数1000キロメートル泳いで、日本の川や池などに戻るという過酷な旅を続ける生態を持っているのですから。

 とはいえ、夏の土用の丑の日に、ウナギの蒲焼きなどを手軽に食べられるようになったのは、ウナギの養殖技術が進んだ結果です。食料に対するイノベーションのお陰です。おそらく1960年より以前は、天然ウナギの蒲焼きなどをたまに食べる程度だったと思います。考えてみれば、ウナギやマグロなどが手軽に食べられる贅沢を、当たり前と考えることが間違いのような気もします。飽食の時代を真剣に反省することから、新しい食文化が始まります。

佐久荒船高原では白いマタタビの花があちこちで咲いています

2011年07月20日 | 佐久荒船高原便り
 長野県佐久市の東側にある佐久佐久高原は夏模様になっています。森の葉が茂り、木に巻き付いたツル類が葉を茂らせ、草も緑を濃くしています。ミヤマカラスなどの大型のアゲハチョウもよく目にします。

 佐久荒船高原の向かいにそびえ立つ荒船山(標高1423メートル)も山麓は緑を濃くしています。荒船高原側から見ると、荒船山は真南に位置するため、向かい合う山麓面は日陰になっています。



 有名なとも岩の下側は日陰の時間帯です。

 草木が茂る山道を歩くと、白い葉が目立つツルがあちこちに繁っています。マタタビのツルです。



 緑の葉に白い葉が混じって目立つように繁るころは、葉の裏側に小さな白い花が咲くころです。



 繁った葉の陰なので、この白い花は意外と目につきません。ひっそりと咲いています。多くの方は、葉の一部が白く変質した変なツル系と思うだけのようです。

 マタタビの実はネコ系が酔うといわれています。秋になると、緑の小さな実がなります。この実は利尿作用や血行促進、強壮作用があるといわれています。

 この実を焼酎などにつけ込んで、滋養剤として楽しまれる方がたまにいます。以前に一度、マタタビ酒を飲ませていただいたことがありますが、とても苦くて、あまり好きにはなれない味でした。

 草原の一部に、ウスユキソウが咲いています。いわゆる“エーデルワイズ”の一種です。



 以前は、山道の日陰のあちこちに咲いていたのですが、山道の見通しを良くするための下草刈りによってかなり減りました。繊細な白いウスユキソウの花を見ると、夏が来たと感じます。