ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

VCの東京大学エッジキャピタルの投資先企業3社が相次いでIPOをします

2011年07月06日 | イノベーション
  一般社団法人東京大学産学連携支援基金が株主である東京大学エッジキャピタル(UTEC、東京都文京区)は、東京大学関連のベンチャー企業に投資するベンチャーキャピタル(VC)です。同社がこれはと将来を見込んで投資したベンチャー企業3社が最近、相次いでIPO(新株式上場)することになりました。一般に、IPOすると、その当該企業の株を高値で買おうとする一般株主が多いために、その企業の株を売り出す創業者の方たちは、多額のお金を手に入れます。

 ベンチャーキャピタル1社の投資先企業が3社続けて、株式市場にIPOしてデビューすることは、大変珍しいことです。2008年9月のリーマンショック以降は「ベンチャーキャピタルとベンチャー企業が“冬の時代”を迎えている」といわれて、IPOする企業数が大幅に減ったからです。今回の快挙は、東京大学エッジキャピタルは投資先企業を選ぶ目利き能力と育成能力の実力の高さを示した成果ともいえます。



  2011年6月11日に、投資先企業の1社であるラクオリア創薬(愛知県・武豊町)は「大阪証券取引所が大証JASDAQグロースへの上場を承認した」と発表しまし。株式上場は7月20日の予定です。同社は新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業で、元々は米国ファイザー社の研究開発グループの一翼を担ってきた、日本側の中央研究所が独立した企業で、実力派の企業です。実際には、3月に株式上場する計画でしたが、東日本大震災によって、延期していたものです。

 6月15日には、「東京証券取引所はモルフォ(東京都文京区)の東証マザーズへの上場を承認した」と発表しまし。株式上場は7月21日の予定です。同社は東京大学大学院理学系情報理工学系研究科の学生だった平賀督基氏などが2004年5月に共同創業したベンチャー企業です。携帯電話機向けなどのデジタル画像処理のソフトウエアの開発事業を展開している有名企業です。東京大学エッジキャピタルは同社の創業準備中から一貫して起業支援をしてきた経緯を持つそうです。

 6月24日には、メビオファーム(東京都港区)は「TOKYO AIM取引所から上場が承認された」と、公表しました。TOKYO AIM取引所は、東京証券取引所とロンドン証券取引所が合弁で設立した新たな証券取引所です。株式上場は7月15日の予定です。同社は、ガンの治療薬として働くDDS(薬物搬送システム)のリポソーム化をコア技術とする製薬企業で、米国などで臨床治験を実施しています。

 東京大学エッジキャピタルは現在、二つの運営ファンドを設立し運営しています。一つは2004年7月1日に設立したファンド「ユーテック一号投資事業有限責任組合」です。83億400万円の投資を集めて、ベンチャー企業に投資中です。存続期間は2013年12月31日までの予定です。もう一つは 2009年7月31日に設立したファンド「UTEC2号投資事業有限責任組合」で、76億4800万円の投資を受けました。新規投資期間は2014年7月30日まで、存続期間は2019年6月30日までの予定です。

 東京大学エッジキャピタルは、株式会社でありながら「東京大学」という名称を入れることを許された2社ある企業の1社です。投資ファンドの運営方針として「有望な投資先の企業には、成長に必要なマイルストーン投資を適宜実施する」と宣言しています。