ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

早稲田大学発ベンチャー企業の若き代表取締役にお目にかかりました

2012年07月21日 | 汗をかく実務者
 早稲田大学インキュベーションセンターに入居しているベンチャー企業のクオリティ エクスペリエンス デザイン(QXD、東京都新宿区)の若き代表取締役にお目にかかりました。

 早稲田大学インキュベーションセンターは、早稲田キャンパスから北西側に少し離れた、新目白通りに面した高層マンションの1階にあります。同センターは、早稲田大の教職員や学生などがベンチャー企業などを起業し、新規事業を始める際に支援するインキュベーション施設です。現在、ベンチャー企業などが10数社入居し、各社は独自の事業の拡大を図っています。

 その1社であるクオリティ エクスペリエンス デザインは、3D(3次元)映像の制作技術などのコンテンツ事業化を目指して、2008年11月に創業されたベンチャー企業です。早稲田大理工学術院の河合隆史教授の人間工学と、安藤紘平教授の映画制作技術などのコンテンツ制作技術のそれぞれの研究成果を基に、3D映像などのコンテンツ制作を事業化する目的で創業されました。



 早稲田大の知人を介して、同社代表取締役の太田啓路さんにお会いしました。



 太田さんは、河合教授の研究室で大学院の修士と博士課程を修了し、博士号を取得した後に、コンテンツ制作などを手がける、あるベンチャー企業に就職しました。

 その後、河合教授と安藤教授のそれぞれ研究成果を融合して、3D映像などのコンテンツ制作の事業化を図る目的で、ベンチャー企業を興す計画が出てきたそうです。太田さんは当時務めていた会社を辞め、2008年4月からそのベンチャー企業の創業準備を始め、約8カ月という短期間で事業計画を練り上げたとのことです。太田さんが学生時代に河合研究室(当時は早稲田大学国際情報通信研究科)で研究していた内容などが、事業のコア技術になっていたことから、スムーズに起業できたようです。

 クオリティ エクスペリエンス デザインが注目を集めたのは、東宝が配給した「映画 怪物くん」(映画公開日は2011年11月11日)で2D/3D変換サービスを担当したからです。さらに、東宝が配給した「friend もののけ島のナキ」(映画公開日は2011年12月17日)でも2D/3D変換サービスを担当するなど、次々と2D/3D変換サービスの実績を積み上げたからです。

 単なる制作プロダクションではなく、「2D/3D変換サービスなどを支える要素技術を基にした共同研究や委託研究を他の企業などと実施するビジネスモデルを推進している」そうです。

 同社は、手がける2D/3D映像変換サービスでは、2D/3D映像変換を機械的・自動的に制作するのではなく、人間工学に基づく安全性や品質などを加味したスキルを盛り込んでいるそうです。美術系大学を出た専門性スキルを持つ社員がコンテンツ制作を担当しているそうです。

 若者がベンチャー企業を率いて、従来にはない新規事業を拡充させていることは、日本の新産業興しにとって重要なことであり、日本の成長戦略を具現化していることです。日本の若者がベンチャー企業を創業するなど、新しいことに挑戦する姿は頼もしい限りです。