ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

伊坂幸太郎さんの最新作の単行本「夜の国のクーパー」はどんでん返しの結末です

2012年07月05日 | 
 ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの新書の単行本「夜の国のクーパー」(東京創元社、2012年5月30日発行)を読み終えました。

 あとがきには、この「夜の国のクーパー」は書き下ろし作品で、執筆に約2年半もかかったと明かされています。この本の中身は、ある種のおとぎ話です。不思議なファンタジー寓話です。



 この単行本は、だいぶ以前に購入しながら、なかなか読了しませんでした。まず、最初の3分の1に相当する130から140ページぐらいまでは、この小説に描かれている世界のあり方の設定・環境などを読み取るまでに、かなり考え込み、ページが進みませんでした。

 この単行本の中身のネタバラしになるので、詳細は書けませんが、視点を変えると事実は異なってみえるというものです。こうした話は、安部公房のある作品を思い出させました。

 ただし、伊坂幸太郎さんの方が、いろいろな布石を打ち、最後の真実の落差を丁寧に仕掛けています。個人的な好みでは、あまり後味がよくない感じですが、現実の世界でも、解釈によってはあり得ることだと思います。

 書き下ろしに2年半かかったとの経緯は、ストーリーをあれこれ何回も書き直したのではないかと想像しています。「視点を変えると事実は異なってみえる」という寓話は現実になると、かなり怖い話になります。