ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

半導体大手のルネサスが国内生産拠点を再編する記事を読みました

2012年07月06日 | 日記
 半導体大手のルネサスエレクトロニクス(本店は川崎市)は2012年7月3日に、国内生産拠点の再編と早期退職優遇制度の実施を盛り込んだ経営改善のリストラ策を発表したと、翌日の新聞やテレビのニュースなどが相次いで報じました。日本の半導体事業を集約した“オールジャパン”企業の事業不振だけに、そのリストラ策実施の影響は大きいようです。

 リストラ策の中身では、事業領域を新興国を中心とする海外市場、自動車・スマート社会分野に集中するそうです。半導体事業はマイコンとアナログ&パワー半導体事業を強化する一方、不採算のシステムLSI(SoC)事業は抜本的な取捨選択を実施するとのことです。



 半導体事業はグローバルな市況の変化が激しく、その動きにどう対応していくかが事業の基本です。今回の事業領域の見直しは、これまでいわれてきたことを実施するだけです。事業戦略・事業マネジメントがあまりうまく働いて来なかったという課題の解決案は企業秘密のようです。ここを直さないと、抜本的なリストラ策になりません。

 国内生産拠点の再編は3年以内に実施にする計画です。国内生産拠点の再編は、各生産拠点がある地元に大きな影響を与えます。元々、NECと日立製作所、三菱電機の半導体事業を合併した企業であるため、ルネサス・グループの国内前工程工場は(2012年7月1日付けで富士電機に譲渡済みの津軽工場をのぞく)、9拠点15ラインもあります。



 このうち、那珂事業所(茨城県ひたちなか市)の200mm/300mmライン、甲府事業所(山梨県甲斐市)の200mmライン、ルネサス関西セミコンダクタ (滋賀県大津市)滋賀工場の200mm/GaAs(ガリウム・ヒ素)ライン、西条事業所(愛媛県西条市)の200mmライン、ルネサス セミコンダクタ九州・山口(熊本市) 川尻工場の200mmラインは継続するとのことです。このほかに、高崎事業所の150mmライン、ルネサス関西セミコンダクタ 滋賀工場の150mmライン、高知事業所の150mmラインは生産能力を縮小して継続するそうです。

 一方、譲渡または他拠点への集約する生産ラインは、ルネサス山形セミコンダクタ(山形県鶴岡市) 鶴岡工場の125mm/300mmライン、ルネサス セミコンダクタ九州・山口の山口工場 150mmライン、甲府事業所の150mmライン、高崎事業所の125mmラインなどの予定です。

 国内には半導体の後工程((組立・試験)工場は9拠点あります。ルネサス北日本セミコンダクタ 米沢工場は運営を継続する一方、ルネサス セミコンダクタ九州・山口の大分工場、ルネサス九州セミコンダクタ 熊本(大津)工場は将来的は譲渡を検討するそうです。

 ルネサス北日本セミコンダクタ 函館工場、ルネサスハイコンポーネンツ 青森工場、ルネサス関西セミコンダクタ 福井工場、ルネサス柳井セミコンダクタ 柳井工場、ルネサス セミコンダクタ九州・山口の山口工場、同 熊本(錦)工場は、生産能力を縮小しながら、譲渡または集約を検討します。

 早期退職優遇制度による人員削減は5000数百人の見込みです。今回の早期退職に加えて今後3年以内に完了する国内生産拠点の再編などによって、さらに5000数百人規模の追加削減を見込んでおり、合計1万人強を削減する方針だそうです。

 今回のリストラに必要な資金は「NEC、日立、三菱電機の大株主3社に支援を申し込み、それを受けてもらう方向で協議している」(代表取締役社長の赤尾泰さん)とのことです

 今回の経営改善のリストラ策によって、グローバル市場の変化に柔軟に対応できる企業体質に変わることができるかが問われています。おそらく最後のリストラ策です。