まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『サイラス・マーナー』幸せ…それはpriceless

2009-07-15 01:06:51 | イギリス・アイルランドの作家
SILAS MARNER 
1861年 ジョージ・エリオット(メアリ・アン・エヴァンス)

誰が見ても安心なエピソード、ハプニングも予想の範囲内、暖かい人の心
お金じゃ幸せは買えないのよ、という分かりきった教訓…理想的です。
NHKの朝ドラにもってこいなんじゃないのかしら?
(でも連ドラは見ないんだけどね…むずがゆいから

ドラマティック&ドラスティックな展開に慣れてしまった眼には退屈そうですが
世間の荒波に疲れた身にはホッとできる作品となっています。

サイラス・マーナーという世捨て人のような主人公がいます。

彼は若い頃友人に裏切られ故郷を捨ててラヴィロウ村にやって来ましたが
特異な風貌と陰鬱そうな暮らしぶりから村人たちから避けられてしまいます。
その後は仕事一筋で金を貯め込むのだけが楽しみでした。
けれどもせっかく貯め込んだ大金を、地主の放蕩息子ダンスタンに盗まれてしまいます。

すっかり気落ちしたサイラスの前に現れたのが、幼い天使のような女の子です。
母親はサイラスの家の前で息絶えましたが、実はダンスタンの兄ゴドフリーが
一時の気の迷いで付き合って秘密で結婚していた女性でした。
ゴドフリーは愛する女性ナンシーと結婚するために父親だと名乗りでません。
サイラスは小さな女の子をエピーと名づけて自分で育てていく決心をしました。

子供を育てるサイラスは幸せ一杯だし、村人たちも彼を見直して優しくなるし…
万々歳でしょう?
2歳というやんちゃ盛りの子供と子育てにあたふたするサイラスが微笑ましくて
近所にいたらつい助けてあげたくなると思いますよ。
16年後には優しく美しい娘に成長するし、ホントいい話…

後半、盗まれたお金が見つかったりゴドフリーがエピーを引きとりたがったりと
ひとヤマありますが、たぶんそうなるでしょうね、というラストに落ち着きます。
読み手の善意に反するものはありません。

人に優しい物語、たまにはいかがでしょう?
大袈裟な仕掛けやドロドロした愛憎劇は読んでいてエキサイティングですが
善意の物語も自分まで善人になれたような気がしてよいものです
もちろん、作者の腕前がよくなきゃつまらないでしょうけどね。

初めて知ったけど、ジョージ・エリオットって女性だったのね~!
男性名で書いていた女性作家は何人かおりますが、彼女は知りませんでした。
どうして男性名にするのかしら?
よっぽど素性が知られたくないとか? それとも茶目っ気でしょうか?

サイラス・マーナー岩波書店


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2 コメント

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Unknown (りすぼん)
2012-05-22 19:18:36
当時イギリスでは女流作家は大したものなんて書けない、という偏見があったため、あえて男性名にすることで色眼鏡をとおさずありのままの作品を評価してほしかったから、という理由だったそうですよ!
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こんばんわ (まりっぺ)
2012-05-25 22:46:14
りすぼんさま、ありがとうございます。

薄々そんな気がしてましたがやはりそうでしたか…
女性が自由に作品を発表できるって幸せなことですね。
返信する

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