まりっぺのお気楽読書

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『アンをめぐる人々』アン、完全に脇役

2009-06-27 00:59:03 | カナダの作家
FURTHER CHRONICLES OF AVONLEA 
ルーシィ・モゥド・モンゴメリ

シリーズ10作目で、4作目の『アンの友達』 同様プリンス・エドワード島に暮らす人々が
主人公になっている短篇集なのですが…もはやアンは関係ないじゃん

ベストセラー作家ならではの悩みでしょうけど
世間の要望と自分の欲求に折り合いをつけなければいけなかったんでしょうね。
アガサ・クリスティも恋愛小説をペンネームで書いていますが同じような事情かしら?
クリスティが書いたと聞いたら読者は「今度はどんな事件?」て期待しちゃいますから。

『アンの友達』のように夢見心地な恋物語もありますが
今回は成就しなかったラブ・ストーリーをいくつかあげてみます。

『茶色の手帳』
アンがダイアナと滞在した家で出会った老婦人ミス・ラヴェンダーは一生独身でした。
彼女の死後なぜかアンにトランクが届けられ、中には古びた本が入っていました。
中に書かれた日記のようなものから、若き日のミス・ラヴェンダーが
ひとりの画家と出会って悲しい別れを体験したことがうかがい知れました。

『没我の精神』
絶対的な権力者だった母ナオミの死に際に弟クリストファーを託されたユーニスは
やくざ者になっていくクリストファーに献身的に尽くし婚期も逃しました。
しかし年頃になったクリストファーは結婚するので出ていってほしいと言いました。
ユーニスが親戚の家に落ち着いて数年後、クリストファーが天然痘に罹ります。
外出していたクリストファーの妻は彼が治るまで帰って来ないということです。

『平原の美女タニス』
なぜエリナーがこれまで結婚しなかったのか? 兄が語ります。
25年前に兄を訪ねて行った時、エリナーはジェロームに出会い恋に落ちました。
ジェロームを恋人だと思っていた混血の美少女タニスはエリナーのことを知ると
静かな復讐心を抱くようになりました。
ある晩ジェロームは銃で撃たれます。 エリナーを迎えに来たのはタニスでした。

慈愛に満ちたハッピーエンドが多い中、上の3作は(大袈裟にいえば)異色です。
それでもモンゴメリの人柄によるものか悪意に満ちたまま終わるということはないので
穏やかに読み終えることができます。

それにしても昔の恋は実らせるまでが一苦労みたいですね。
まずふたりきりになることが難しいじゃないですか?
ふたりで散歩をしただけですぐ噂になってしまうし。
やっと心が通じ合っても、どういう分類によるものか分かりませんが
身分違いとか家柄とか言いだす人がいるのよね。
やけに未婚女性がいるのも分かる気がする…

『アンの友達』と『アンをめぐる人々』を読んで思ったのですけど
アンシリーズって大人が読むもののような気がします。
今まで子供の読むものだと侮っていたことを、深く反省します。

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