まりっぺのお気楽読書

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『ボヴァリー夫人』女性の不満は不滅

2009-05-22 01:21:42 | フランスの作家
MADAME VOVARY 
1857年 ギュスターヴ・フローベール

ハーディの『帰郷』 (1878年)や モームの『クラドック夫人』(1902年)と
比較されることが多いですが、確かに似ているかもね。
いちばん読み応えがあるのは『ボヴァリー夫人』だと思いました。
他にも満たされぬ主婦が主人公になっている物語は多いと思いますけど…
時代や国は異なれど女の不満は変わらず。

ありがちといえばよくある話のような気がするので簡単に説明すると

真面目だけが取り柄のシャルルという田舎医者の再婚相手になった
美しく洗練されたエマという女性がおりました。
エマは裕福な百姓の父親から離れたい一心でシャルルと結婚したのですが
代わりばえしない毎日に空虚さを覚えていきます。

おあつらえむきにロドルフという領主が登場してエマは恋にのめり込み
彼に裏切られた後はレオンという青年と恋に落ちて他のことは見えなくなります。
エマの愛は熱烈でした。そりゃあもう相手がたじろぐほどに…

この間エマは嘘に嘘を重ね、シャルルに内緒で借金を繰り返します。
ルウルーという商人を相手にした借金のくだりが少々バルザック的に入り組んでいて
めんどくさいのだが、とにかくすごい借金を作っちゃったわけです。

とうとう差し押さえにあってしまったエマは、ロドルフやレオンなどに救いの手を
求めましたが、ふたりは助けてくれませんでした。
助けを申し出てくれたのはルウルーと組んでいるいやらしい爺さまだけ…
彼女は悲観して薬屋の戸棚からヒ素を取り出すとその場でムシャムシャ食べはじめて…

シャルル、好い人なんでしょうが気付かないってどーよ?
村中の人が疑っているというのに妻に愛されてると思いこんで幸福に浸っちゃって
挙げ句の果てにエマに浮気を促すようなことまでしてしまうとは。
ラストでエマの浮気に気付くのですが、その時のショックはすごいものがありますよ。

思えば『帰郷』のユーステシアも『クラドック夫人』のバーサも
夫に失望すると他の男性に心惹かれてます。
(お国柄の違いか関係を持つまでには至りませんでしたけどね)

「退屈だわ~」→「不倫しちゃおっかな」って女ばかりだと考えてほしくはないのだが
閉塞感に襲われると「ここから誰かに連れ出してほしい(できたら素敵なお方に…)」と
考える気持ちは分からぬでもありません。お金持ちならなお良し。
現代の先進国なら「自分で人生を切り開いて行くわ!!」と考える人も
かなり存在するでしょうけれどね。

良い夫では退屈だけど腰の軽い夫では不安…女のジレンマです。
一番いいのはハンサムで知的で都会的なナイスガイ、人生を楽しむ術も心得ていて
モテモテなんだけど妻一筋って人ですが、そんな男がいるもんなら見せてほしいわね

ボヴァリー夫人 河出書房新社


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私のは新潮文庫ですが、河出文庫の表紙はかわいいですね

余談です ←これ可愛い~ね
いよいよ川崎市でもインフルンザが見つかったってことでマスク買いに行ったけど
どこにもなかったですわ…やはり

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