まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世妃 アウグスタ

2009-11-19 01:58:44 | ドイツ系王妃
姑いじめが娯楽? ドイツ最後の皇后
ヴィルヘルム2世妃 アウグスタ・ヴィクトリア
               フォン・シュレスヴィヒ=ホルシュタイン


1858~1921/在位 1888~1918

アウグスタはホーエンツォレルン家の皆さんから“ ドナ ” と呼ばれていました。

ドナは23歳の時にヴィルヘルムと結婚しています。
結婚式は8時間にも及ぶものでした。

ホルシュタイン家ってそんなに悪い家柄だとは思えないんだが
ドナはヴィルヘルムの一家に見下されていたみたいなのね。
このクールな親戚付き合いはずっと続きました。

後にザクセン=マイニンゲン公妃になるヴィルヘルムの妹のシャルロッテは
とるに足りない領主の娘がヴィルヘルムの妃に、ひいてはドイツ皇后になるなんてっ!
というわけで、かなり冷たかったみたいですよ。

また、同じく妹のギリシャ王妃ゾフィアは、1890年に
ギリシャ正教への改宗についてドナに逆らい、ドナは逆上して流産してしまったそうです。

        

じゃあドナが可哀想かというと、そうでもない…

実は姑のヴィクトリアは、息子との関係が悪かったでしょ?
それをドナがとりなしてくれるんじゃないかと期待していたのですが
逆にドナは姑とのいざこざを楽しんでいました。

例えば、あるパーティーでヴィクトリア皇太后に
「どうしてわたくしが薦めたドレスを着ていないんですの?」とちくりと言ったり
娘のヴィクトリア・ルイーゼの名は(姑ではなく)祖母と曾祖母からとった名前だ、と
わざわざお知らせにあがったり、とか。

意地悪されたからってさらに弱い者をいじめるなんて、いかんじゃないか!
でも宮廷ではそうでもしないとストレスがすごいのかもしれないですよね。

そんなドナも、夫ヴィルヘルムが皇帝に即位して軍事に明け暮れるようになると
寂しくなってしまったのか皇太后と親しげにつき合うようになります。
仲良く馬車で出かけたり、ちょくちょく子供を連れて訪ねて行ったりね。
それでも(自由主義を吹き込まれると困るので)子供たちと皇太后だけにすることは
決してありませんでした。

皇帝になったヴィルヘルム2世は、それまでの慎重な外交を捨て
世界政策(強国政策)を打ち出していきました。
そんなつもりはなかったのかもしれないけれど、ことごとく英国に対抗するような政策は
次第に両国の関係を悪化させていきます。
また、ロシアとフランスを近づけ、敵に回すことにもなりました。

1914年のサラエヴォ事件を発端に勃発した第一次世界大戦に中央同盟国側で参戦しましたが
国内での反戦運動は革命になり、ついに1918年、ヴィルヘルムは退位し
オランダへ亡命しました。

退位と亡命にショックを受けて弱っていたドナに追い打ちをかけるように
1920年夏、皇子ヨアヒムが自殺します。
体調を崩したドナは1921年の春、オランダで亡くなりました。

ドナは亡骸となって、やっと、ドイツ(ヴァイマール)共和国から帰国を認められ
ポツダム宮殿近くの寺院に埋葬されました。
ちなみに夫ヴィルヘルムが再婚したヘルミーネも同じ寺院に埋葬されています。
ヴィルヘルムはドイツでの葬儀を禁止されたためオランダに埋葬されました。

               
                “ The Empress ” という感じですね

(参考文献 阿部謹也氏『物語ドイツの歴史』 Wikipedia英語版)

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3 コメント

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ドナの気持ちもわからないでもない (ケイコ・オカモト)
2010-07-26 17:41:08
まりっぺ様、再びすみません。

以前読んだ本で(異国に嫁した姫君たち)姑のヴィッキー(彼女の愛称)の事を知って、すっかりヴィッキーびいきだった私です。ヴィッキーがウィルヘルム2世の母親だとこの本で知りました。
このブログでドナの事を初めて知ったのですが、最初に読んだときは私も彼女にいい感情を持ちませんでした。
でも、改めて読み直して彼女の気持ちもわかるような気がしました。

というのも私事ですが、私は今主婦ですが、義理の両親と同居してます。
よくある嫁姑問題というのではないですが、私は性格上気の強い方ではないため、自分の言いたいことを内にため込んでしまいます。(人の話を聞かない人なので)
立場は全然違いますが、ドナも似たようなものだったのでは・・・と思います。
ドナは夫の家族に家柄の事で軽んじられていたようだけど、元をただせば親戚ではないでしょうか?(ドナの母と姑はいとこ同士)
それなのに姑や小姑たちに家柄の事をあげつらわれたら・・
そう考えるとドナの気持ちもわかる気がしました。

(再び、長々としかも愚痴を並べてしまってすみません)
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2010-07-27 23:31:59
ケイコ・オカモト様、こんばんわ

コメントありがとうございます。

歴代の王妃たちの悪評には、理解できないこともないことが多いですよね?
若くして遠い地へ、しかも敵国に嫁がされて友達もいない、夫は知らんふり、夫の家族や宮廷人たちは冷たいし…孤独感から病気になるか悪妻になるしかなかった人が多かったんじゃないかと思います。

同居の大変さは部外者には計り知れませんが、ご苦労をお察しします。
私の義母はおおらかな人が好い人で、たまに会うととても仲良くできるのですが、ちょっとおせっかいで押しが強いんですよね。やはり5日ぐらいが限度かな…なんて思うのは贅沢ですね。

同居している友人は、けっこう好きなことを言いあっているように見えるのですが、飲むとグチります。
少しは気が晴れるみたいです。

もしコメントで少しでもスッキリされるのでしたら、遠慮せずグチってくださいね。
返信する
御返事ありがとうございます。 (ケイコ・オカモト)
2010-07-28 08:24:53
まりっぺ様、御返事ありがとうございます。

私の義母も悪い人ではないのですが、思い込んだらすぐ突っ走るという感じで、ついていけなくなることもしばしばです。(逆にいえばそれだけ行動力にあふれた人なのですが)
ここにコメントしてみて、まりっぺさんの友人の方の事を聞いて、自分だけではないと思い少し気が晴れました。

いつも丁寧な御返事ありがとうございます。
これからも楽しみにしてます。
返信する

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