まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『夜の樹』心暖まらないファンタジー

2008-11-20 22:36:18 | アメリカの作家
A TREE OF NIGHT 
1945年~ トルーマン・カポーティ

私がカポーティに対して抱いている先入観は
たぶんこの本によるところが大きかったでしょう。
少しグロテスクで冷たい印象って言うのか、“ とりつく島がない ” って感じ
ちくま文庫版の短編集は南部やヨーロッパを舞台にしていて
けっこう人間味があったような気がしてるんですけど。

田舎や郊外を舞台にした作品と、ニューヨークなどの大都会を舞台にした作品に
決して小さくはない乖離を感じるのは私だけ?
あたかも田舎のカポーティと、都会のカポーティが二人いて、
好き勝手に創作活動をしているようにさえ思えます。
あまりにも作品に入り込んだため? 二重人格的な性格? 興味深いです。
短篇2冊読んだだけでこんなこと言うのもおこがましいんですが・・・

『最後の扉を閉めて(Shut a Final Door)』
初めての友人から奪ったマーガレット、パーティーで出会った女相続人ローザ、
そして恩人で恋人のアンヌ、次々と人を傷つけておきながらなぜ嫌われるかが
理解できないウォルターは会社もクビになってしまいます。
ニューヨークを去ろうと考えていると、見知らぬ誰かからの電話がかかります。

『ミリアム(Miriam)』
ある冬の日、ひとりで気持ちよい生活を送っている未亡人のミセス・ミラーは
優雅で弱々しい少女ミリアムと出会います。
ゆきずりのことだと思っていたのに、数日後ミリアムが
ミセス・ミラーの家のベルを鳴らします。 それも執拗に・・・

『夜の樹(A Tree of Night)/1945年』
女子大生のケイは、叔父の葬式の帰りに、汽車でひと組の男女の向かいに座ります。
いきなりしゃべりだした50歳ぐらいのだらしない派手な女に辟易するケイですが
次第にどうしようもない気持ちに襲われます。
女が水をくみに席を立つと、眠っていたような男がケイの方へ手をさしのべてきます。

以上、特にモヤモヤする3篇をあげてみました。

一種フリークスのようなファンタジー、夢のない幻想、
そして氷のように冷たく美しい、そんな物語でしょうか?
ハートウォーミングなものではありませんよね。

カポーティに関しては興味が湧いてきたので、他の作品も読まねば・・・
と思っています。

夜の樹 新潮社


このアイテムの詳細を見る

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イギリス王ジョージ3世妃 シ... | トップ | イギリス王ジョージ4世妃 キ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アメリカの作家」カテゴリの最新記事