まりっぺのお気楽読書

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『恋する女たち』どうしちゃったんだ?ロレンス

2009-09-03 02:15:52 | イギリス・アイルランドの作家
WOMEN IN LOVE 
1920年 D・H・ロレンス

ロマンティックな題名からは予想がつかないきつい内容の一冊。
私はおおいにロレンスを誤解していたのかもしれません。
説明のつかない欲望や密やかな激情を描こうとする作家なのかと思っていたら
この物語ではなにもかも説明しようとしているようで、すごく息苦しかった。

ある炭坑町の5人の男女がくっついたり離れたりの恋物語で
そんなに珍しいものでもないのですが
登場人物が曲者ばかりなのでたいそう大げさな話しになってしまっています。
だから小説として成り立っていると言えるのかもしれませんけどね。

ルパート・バーキンという破滅的で絶望的な観念の持ち主がいます。
望むのは愛や感情を越えた結合と人類の滅亡 … めんどくさそうでしょ?
相手には完全なる自己の放棄を要求します。

そのルパートを慕うのはハーミオニ・ロッディスという裕福な娘。
全てを支配下に置くことを望み、知の追求に余念がない尊大な女性です。
魂と知識で結ばれることのみに意味があると思っています。

アーシュラ・ブラングェンという学校教師もルパートに惹かれます。
自分を捧げる代わりに全霊で捧げられる愛を望んでいます。
彼女が一番分かりやすい性格ではあるのだが…

ルパートの友人ジェラルド・クリッチは一帯の炭坑を支配する経営者。
裕福で生気があり、知り得た知識を議論せずにはいられない男性です。
女を知りながら愛を知らずに生きてきたことに恐れを感じています。

ジェラルドに惹かれるのはアーシュラの妹でガドランという芸術家。
停滞を嫌い孤独を好む激情型の女性で、自我に忠実に生きようとしています。
平凡な愛に身を任せることに危険を感じます。

以上、主な登場人物です。
ルパートとアーシュラ、ジェラルドとガドランはお互いに愛情を持っていながら
自己の主義や主張にこだわるあまり上手くいきそで、いかなそで…という
じれったい状態が長く続いてしまうんですね。

最初はアーシュラとルパートのふたりに力点が置かれていたような気がしますが
いきなりハーミオニが舞台から去り、結婚という形で “ 結合 ” が成されると
だんだん存在感が薄れてきちゃったんですよね。
ルパートも大言壮語をふりかざしていたわりには情けない…
結局愛の感情に流されてしまったあたりがフツーの人間らしかったですけどね。

後半はガドランとジェラルドの愛憎と葛藤がクローズアップされて
新たな(めんどくさい)男性レルケが登場した後
あらあら…という結末へ

薄っぺらく読むと、登場人物が感じる愛の悩みは誰にでもあるものだと思います。
相手が憎く思える瞬間とか逃げ出したい気持ちとかね。
しかしなぜすぐに死とか破壊に結びつけるかね?
どうして地球の崩壊や死の領土なんていう壮大な話しになっちゃうかしら?

恋愛はすごくプライベートなこと。
“ 愛とは ” ってあまり語りすぎるのもどうかと思う。
口で説明がつくことだとは思えないもの。

“ 愛について ” を深く追求している方にはひとつの示唆になるかもしれません。

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