まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『テス』清いことは善なのか?

2008-08-26 01:02:38 | イギリス・アイルランドの作家
TESS OF THE D'URBERVILLES 
1891年 トマス・ハーディ

私は、“この世の者とは思えない美しさ” とか “誰もが見つめずにいられない” という
世にも美しい女主人公には手厳しいよ
それだけで七割がた物語になっちゃうからね。

でも『テス』はあまりに可哀想で、美しいのも大変ね、と
同情を感じないではいられません。

映画は観ましたが、まったく内容を思い出せないっす
覚えているのは公開当時CFで流れていた、ナスターシャ・キンスキーの紅い唇のみ
綺麗だったなあ、今は何してるんでしょう?

父親が由所ある家系の出だと聞いてきたことから、テスの悲劇は始まります。
両親の期待を一身に受けて、ダーバヴィルの家名を持つ裕福な家に奉公に出されたテスは
その家の息子アレクによって不幸な人生の一歩を踏み出すことになります。

アレクの元を離れたテスは、農場でエンジェルと言う青年と相思相愛になり結婚しますが
初めての夜にテスが過去を語ったことから、清廉なエンジェルの怒りをかってしまいます。

ひとりブラジルへ発ったエンジェルを待ちながら、貧困生活を余儀なくされたテスの前に
アレクが再び姿を現します。
テスはなおエンジェルを待ち続けますが・・・

私はね、エンジェルっていう男が一番いけないと思うわ。
時代背景があるにしても、テスは心から愛した人じゃないですか?
自分だって女性がらみの問題があったくせに、ちょっとひどくないですか?

アレクは悪の権化のように書かれていますが、ちゃんと責任もとって
家族の面倒までみてくれてるじゃないですか。
ハンサムっていうことだし、どこがいけなかったのかしら?

モームがある席でハーディに会って “面白みの無い小男だった” みたいなことを書いてますが
作品も、もちろん『テス』もちょっと面白みに欠けるかな?

『マンスフィールド・パーク』 ( J・オースティン)もそうだったけど、
清廉潔白で真面目な人が主人公の物語って、あ~んまり面白くないよね
もっとハメを外してほしいし、欲望でボロボロになってほしい。

“いい人だとは思うけど・・・だから?” っていう感じでしょうかね。

好きだったのはテスの3人のお友達、マリアン、イズ、レティ。
エンジェルに恋をしながらテスを裏切れないという、切ない人たち。 泣けるわ

テス 上 筑摩書房


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女性らしい表紙のちくま版、上巻です

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