まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『厚化粧の女』船上の愛あれこれ

2009-02-25 00:53:31 | フランスの作家
LA FEMME FARDEE 
1981年 フランソワーズ・サガン

豪華客船の旅、けっこう憧れる人多いんじゃないでしょうか?
老後の楽しみにしてたりとか、ジャンボが当たったらとか。
でも私はけっこう厄介なものじゃないかなぁ、なんて思ってるんです。
気の会う人ばかりだったらいいけど、すごくいやな奴が何人かいたりしたら
数日間せまい空間に閉じ込められ一緒に過ごすってかなり苦痛です。

毎年恒例秋の音楽旅行のために、遊覧船ナルシス号に乗船した特等客の面々が
10日間にわたる旅で愛憎劇を繰り広げます。

軸になっているのは、完璧を装っている夫エリックによって自信を無くした
“ 厚化粧の女 ” クラリスと、楽天的で親切なイカサマ師ジュリアンの愛。
10日間でふたりの心はどう変化していくのでしょうか?

そして彼らを取り巻くのが、大プリマドンナと彼女を真剣に愛する美貌のジゴロ。
そのジゴロに思いを寄せるパーサー(男です)。
若い頃プリマドンナと関係があった偏屈な音楽家。
一躍脚光を浴びたルックスの冴えないプロデューサーと、役が欲しいだけで
彼と付き合うエゴイストの新人女優。
常連のひとり、ゴシップが大好きな富豪の妻と、数字にしか興味が無いその夫。

冒頭、登場人物が船に乗り込むシーンでは、アガサ・クリスティーか?
と錯覚しましたよ。
こんなにゴージャスな曲者ばかりが船上に会するなんてね。
幸い殺人事件はおこりませんでしたが、旅は平穏無事というわけには
もちろん、いきません。

サガンが45歳ぐらいの時に書かれた物語ですが、ぐんと華やかな感じ。
映画になったようですが、確かにスクリーン映えしそうな物語だと思います。
真っ青な海と輝く太陽と純白の船影、満天の星空とワインと圧倒的な音楽、
恋のひとつでもしなきゃって気になるでしょうね。

船長だったかな? 富豪のボーテ=ルブレッシュ夫人だったかしら?
旅の終わりに「今年ほどいろいろあった航海はなかった」みたいなことを言うんですけど
毎年あるんじゃないかしら?こんなロマティックなツアーじゃ。

デビュー当時のはかなげな瑞々しさは失われているとしても
ストーリーテラーとしての円熟味を増した面白い1冊だと思います。

厚化粧の女 (上) 集英社


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まずは上巻から…

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