まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『夏服を着た女たち』哀しい気分のジョーク

2009-06-14 08:18:10 | アメリカの作家
THE GIRLS IN THEIR SUMMER DRESSES 
アーウィン・ショー

アメリカのドラマとか映画を観ているとさぁ、緊迫した場面とか
あきらかに気落ちすべきところでジョークっぽいことを言ったりしますよね。
時には効果的ですがあまり都度重なると「ふざけすぎっ!」とイラつきません?

この短篇集はそんな脱力感に包まれる軽いジョークがちりばめられております。
でもわりと面白いし勉強になりますよ。
全てのジョークが笑いをとるために言うものではないのですね。

『80メートル独走(Eighty Yard Run)』
ダーリングは大学時代に80ヤード走をきめたグラウンドを15年ぶりに訪れました。
あのころの彼は人気者で、卒業すると美しくてダーリング一筋のルイズと結婚し
彼女の父親の会社に入って、若く裕福な夫婦を体現していました。
けれど今ダーリングは地方をまわる背広のセールスマンです。

奥さんのルイズはダーリングが酒浸りのうちに就職して出世してるんですよね。
この物語を読むと、窮地に陥った時には女性の方が強いのかなぁって思うわ。
奥さんの方が高給取りで顔が広いって男性的にはどうなのでしょう?
気にする? 気にしない? 旦那さんの性格によるんでしょうかね?

『夏服を着た女たち(The Girls in Their Summer Dresses)/1939年』
マイクルは気持ちのいい日曜の朝、散歩中に妻フランセスから
「他の女ばかり見ている」と責められました。
最初ははぐらかしていたのですが、フランセスがあまりにもしつこいので
マイクルも次第に男の本音を言い始めます。

うちの旦那さんもけっこうガン見っていうの? 他人のことを見つめんのよね。
別に綺麗な女の人を見るのはいいんだけど、ガッついてるようで恥ずかしいのよね。
過去のことをほじくり返して泣くというのは女性によくあるパターンなんですが
将来のことで泣かれちゃっても男の人は困っちゃうでしょう?

『カンザス・シティに帰る(Return to Kansas City)』
ボクサーのエディスがスパーリングで疲れて昼寝をしていると
妻のアーリンが入って来てわざとらしく泣き出しました。
カンザス・シティのママに会いたいというのですが、結婚してから1年半で
5回も帰っています。 エディスは我慢するように言うのですが…

こういう技を持っていればよかったなぁ… 聞いてもらえるまで引かないというのが
コツでしょうか? 嘘泣きの精度も磨かなくてはね。
泣いてワガママが通るのって結婚何年目ぐらいまででしょうね?
やろうと思ってできることじゃないんだけど、こういうの上手な人っていますよね。

登場人物のほとんどが美しい女性とハンサムな男性ということで
現実味の薄さは否めませんが、意外と胸にきます。
こんなことが別れに繋がっていくのかしら…(ため息)なんてな。

ジョークで気持ちを隠してなるべく深刻さから目を反らそうというやり方は
素敵かもしれないけど、日本人には似合わないスタイルじゃないかしら?
いくらハンサムさんだとしても、根本的に気質が違うような気がします。
どちらがいいかということではなくて…

夏服を着た女たち 講談社


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