まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ジョイ・ラック・クラブ』母娘のギャップと愛はどちらが深い?

2011-07-16 15:05:39 | アメリカの作家
THE JOY LUCK CLUB 
1989年 エイミ・タン

中国からアメリカに渡った女性たちとその娘たちのことを
エピソード形式で語っている物語です。

読む前は、祖国の習慣やしきたりを大事にしようとする母親世代と
アメリカで生まれて、かなり自由な雰囲気の中で育った娘世代の隔たりを
書いている物語だと思っていましたが、そんなに単純なものではありませんでした。

ジンメイ・ウーというコピーライターの女性が、急死した母親の代わりに
ジョイ・ラックという女性四人が麻雀卓を囲んで語り合うクラブに参加するところから
物語が始まります。

長編とはいえ、8人の女性たちのエピソードが交互に書かれているので
あらすじを書くのはむずかしいのですが、簡単に内容を書いてみます。

大きく四つの章に分かれていて
“ 千里を越えてきた母 ” は、スーユアン・ウー、アンメイ・シュー、リンド・ジョン、
インイン・セント・クレアという母親世代四人の、若い頃や幼い頃のエピソードです。
舞台はもちろん中国で、家族の掟や昔からの言い伝えなどが色濃く反映されています。

“ つまずいた子どもたち ” は、ジンメイ・ウー、ウェヴァリー・ジョン、
リーナ・セント・クレア、ローズ・シュー・ジョーダンという娘世代四人の
子供時代のエピソードです。
アメリカで生まれて中国語があまり理解できず、母親たちが守ろうとするしきたりや風習を
少し煙ったく感じています。

“ アメリカ人となった娘たち ” では、大人になった娘たちが
母親の言葉に苛ついたり不安を覚えながらも、言ったとおりになることはわかっていて
信頼せずにはいられない様子が書かれています。
感じ方は違っても「やっぱりマー(母)は正しかったのかも…」という結論に至ってます。

“ 中国の母たちの物語 ” には、やはり母親たちの中国時代の出来事が書かれています。
娘たちに知ってほしい、教訓にしてほしい…という内容ではないかと思えます。
ジンメイ・ウーのみは、母親が桂林に残してきた、父親の違う双子の姉に会いに行く話です。

四千年の歴史を持つ中国の教えや考え方が、建国300年足らずの国の暮らしで
いとも簡単に失われていくというのは、母親には理解し難いだろうし
娘たちにしてみれば、アメリカでアメリカ人として暮らしているんだから
いちいち中国のことを持ち出さなくてもさぁ…という思いもあるでしょう。

たぶん中国の人たちに限ったことではなくて、日本から移住した人たちも
ヨーロッパ各地、アジアの各地から海を渡った皆さんも同じではないでしょうか?

はたまた、移住を経験していなくても、なんだか母と娘には独特の思いがありますよね。
「私はお母さんみたいな人生は絶対送りたくない!」と若い頃はほとんどの娘が思うもの…
でもいざ結婚して旦那と暮らしてると、驚くほど母と同じことしてたりするのよね
妙なおまじないみたなことまで信じてたりして…愕然としちゃう。

この物語では異国ということでよりクローズアップされていますが
成長するにつれて、母娘間には越えられない考え方の違いが生まれてきますよね。
でも、それ以上にお互いを引き離せない何かがあるんだと思います。

父親じゃなくてすまん… ま、父親には別の思いがあるはずなんで
そういう本に出会ったら考えてみます。
コメント
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