現在、大三島美術館で開催されている「智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展」を、今日午後から拝見してきました。(大三島美術館は以前わたしが勤めていた美術館です)
田渕俊夫画伯は東京芸術大学副学長を勤められた、日本画壇を代表する作家です。平山郁夫画伯の後継者ともいわれています。
その田渕先生の記念展示室が大三島美術館に常設されています。
今回の展覧会は、真言宗智山派の本山・智積院(京都市)へ昨年奉納された、襖絵60面が展示されています。(智積院は、長谷川等伯の国宝の障壁画でも有名)
実際に、展示された襖を前にすると、墨一色で表現された静寂に、言葉をなくしました。
表現されているのは、京都の四季 朝夕の時間の流れです。「柳」「桜」「すすき」「けやき」など、木々や植物のもつ凛とした生命力を、墨の濃淡によって描き出しています。
映写した下図をもとに、襖面に描かれたとのことですが、細密な描写は、近くで見てもどのように描かれたのか想像できませんでした。田渕先生しか描くことのできない、世界が広がっていました。
他に類のない、素晴らしい展覧会だと思います。
(5月10日まで開催されます)
(若院)