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円空仏と木喰仏

2015-05-21 | 気になる人、ことば
先日山梨県立博物館にて、
「円空・木喰展」を観た。
250体余の仏像が展示されていた。
円空仏と木喰仏。
何度も見てはもう一度、
会場を3巡してしまった。
ずっとそこにいたかった。
なぜここまで仏を彫るのか、
という問いが、胸奥に迫ってきた。

円空は、生涯に12万体の神仏を彫ると
いう誓願を立て、そのうちの5400体が
確認されているという。
また木喰は、61才から像を彫り始め、
80才で1000体、90才で2000体の造像を
誓願され、720体が現存しているという。

円空も木喰も、廻国しながら
像を彫り続けた。
昔も今も、生きるとは厳しい。
二人が歩かれた日々も、当然、
決して楽な道ではなかっただろう。
なのになぜ、これほどまでに
笑みを湛えた仏の像を彫り続けたのだろう。

"木端仏"といわれる仏像…。
捨て去られそうな小さな木片にまで、
柔和な仏を見いだし彫り続ける心は
どこから来るのか。

円空仏の優しい微笑み。木喰仏の慈しみに
惹かれ続ける。
貧困や、争いや絶望や…
生きなければならないどんな境遇にあっても、
人間には笑顔を作る力が秘められている、
と教えられているようだ。
いのちのなかには、こんなにも柔らかな
美しい心地よい形が宿されていると。
繰返し、思い出させてもらい。
生き抜くために。
微笑みの先に、また続けられる一歩がある。
笑顔は絶望のなかの光である、と思った。

笑顔は移る。笑顔を追う心の形は学ばれる。
微笑みの像を彫り続けた円空と木喰。
仏のお顔に宿る微笑みこそ、
衆生を救うものであると信じていたのだろう。
二人の作仏聖の心の形、祈りの形に
思わず涙が出てきてしまった。
人の心の形というのは凄いものである、
と思ったのだった。


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